日本首相のインド訪問
日本の安倍総理大臣のインド訪問は、日本が、インドとの防衛・安全保障協力を拡大しようとしていることを物語っています。安倍首相は、インドのモディ首相との会談で、二国間協力の拡大や地域問題について話し合いました。
安倍首相とモディ首相は、非常に似通った政治的立場を取っており、両者とも軍事力を拡大する政策を追求しています。インドは、日本のように軍事面での制約がありませんが、最近、日本も、安全保障関連法の成立により、自衛隊が海外での任務に参加できるようになりました。
日本とインドが、安全保障上の問題を抱えている中での安倍首相のインド訪問は、注目に値します。日本以上に、インドが、今回の訪問を肯定的に捉えています。なぜなら、これまで日本は、インドとの全面的な協力拡大の条件として、インドのNPT核兵器不拡散条約への加盟を提示していたからです。しかし現在、日本政府はこの条件に目を瞑っているようです。なぜなら、現在、日本は、世界の核を巡る状況を懸念する以上に、地域のライバル国である中国に対抗する上での同盟国を求めているからです。日本は、東シナ海の問題を巡って中国と対立しており、朝鮮半島の核問題について、アメリカの政策に同調しています。また、北朝鮮に対する安保理の制裁を実施するとともに、北朝鮮の核活動を停止させる上で協力を行っていないとして、中国にも制裁を加えています。
中国の新華社通信は、中国の専門家の話として次のように伝えました。
「日本の自衛隊の活動範囲の拡大と防衛予算の増加は、安倍政権の政策の鍵となる計画であり、これは、自衛隊がアメリカの支援により、アジアで大きな力を得ようとしていることを意味する」
インドもまた、日本などの同盟国とともに、中国封じ込め政策に参加するとともに、特に軍事・安全保障の分野で日本の最新の技術を利用し、中国やパキスタンなどのライバル国に対抗する上で、軍事的な地位を強化しようとしています。とはいえ、アメリカのトランプ大統領の、同盟国に安全保障を売却する政策も、インドが地域協力の拡大を検討することにつながっています。この問題について、ディプロマット誌の報告です。
「トランプ大統領の就任により、アジア・太平洋地域の多くの国が、自分たちの外交政策を見直すようになっている。かつて、アメリカ政府に期待していた日本やインドをはじめとする多くの国が、現在は、異なる選択肢を追い求めている」
いずれにせよ、二国間協力を拡大しようとしている日本とインドは、周辺地域において、つまりインドは南アジアでパキスタン、中国と、日本は東アジアで中国や北朝鮮と、政治、安全保障面での緊張や問題を抱えています。インドとの軍事・安全保障協力を拡大しようとする日本のアプローチは、地域の同盟国を探す行動と見なされ、軍拡競争や危機の拡大につながることになるのです。