焦点:新型コロナで世界需要減退、日本は自動車輸出「蒸発」で停滞長期化
世界の需要、特に自動車需要の「蒸発」が日本経済の原動力である外需を萎縮させ、感染拡大が終息してもなお需要の回復には時間がかかるとの見方が広がっており、経済停滞は長期化が見込まれています。
ロイター通信は日本の自動車産業に関し次のような記事を掲載しています。
2月に問題となっていた中国工場の停止による供給制約の影響は薄れたが、3月からは欧米での需要減で輸出全体が急減している。
日本では、2月の段階ではまだ中国での工場停止などを背景に輸入額が前年比でおよそ14%減と2桁減に落ち込み、生産も在庫でしのいではいたものの前月比で3カ月ぶりに減少に転じていた。しかし、3月は輸入の減少幅は半分に縮んだ一方で、輸出は2桁の大幅減となった。その主因は、世界的な自動車需要の蒸発だ。
米国では、外出規制やマインド低下で消費の悪化が著しい上、ほとんどの自動車工場が操業停止を余儀なくされており、再開時期は19日時点で未定、日系メーカーも4月中の生産停止を決定している。こうしたことが、日本の主力商品である自動車に大きく影響したもようだ。
<需要回復には時間>
農林中金総研の南武志・主席研究員は「3月貿易統計では、中国以外の地域での経済落ち込みが強まった。この影響は4月以降もしばらく続く可能性がある」と指摘する。バークレイズ・リサーチは、20年の世界経済成長率はマイナス1.6%と予想、日本の実質輸出は前年比21.9%程度減少すると試算している。
4月のロイター企業調査では、企業は需要回復を慎重にみていることが明らかとなっている。回復時期については6割が見通しが立たないと回答。自動車業界からは「感染拡大が終息しても、需要回復は先のことになりそうだ」といったコメントも寄せられた。
BNPパリバ証券の河野龍太郎・チーフエコノミストは「世界に先駆け感染拡大と収束を経験した中国は、ウイルスを封じ込めた後の各国経済の先行きを占う指針となるが、3月時点での 内需の回復は極めて緩慢」と指摘。経済活動の本格的な再開と感染拡大のジレンマにより慎重にならざるを得ないのは、各国とも共通の課題だ。このため、世界的な経済回復は当面展望できないというのが、多くのエコノミストの共通した見通しとなっている。
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