日本のコロナ水際対策で、在留資格持つ外国人37万人が入国できず
日本政府は新型コロナウイルス・オミクロン株の水際対策としての外国人の新規入国の原則停止措置を、少なくとも来月末まで継続する方針を示しています。一方、日本への在留資格を持つにもかかわらず、入国が認めれていない外国人は昨年10月時点で37万人に上ります。
インドネシア在住のニタ・アントコさん(30)は日本にいる夫との同居を望んでいますが、1年以上日本への入国が叶いません。必要書類を取得し、仕事もやめましたが、日本への扉は閉ざされたままです。
AFP通信の取材にアントコさんは、日本の水際対策について「全然納得できません」と語ります。インドネシア人の夫は日本の中部地方で技師として働いています。「結婚すれば、子どもが欲しいと思うのは当然です。だからこそ、一緒に暮らしたいと思っているのです」と語るアントコさん。夫との同居が果たせる日は見えないままです。
日本政府は、新型コロナウイルスの感染拡大以降、外国人の新規入国を断続的に原則停止しています。その結果、昨年10月時点で37万人以上の外国人が日本への在留資格を有しているにもかかわらず、入国を果たせずにいます。
そのうちおよそ14万7800人が、日本への留学を希望する外国人です。
ネパールのサントシュさん(28)は、日本で学位を取得し、日本語を習得。日本企業の国際マーケティング部門から就職の内定も受けていました。しかし、2020年からネパールで足止めされ、入国の許可を待っている状態です。
「日本で働く計画を諦めたら、日本で学んだ6年間が無駄になってしまいます。だから、ずっと待ち続けています」とサントシュさんは語ります。
今月28日には、アメリカやドイツ、スペイン、バングラデシュなどの各国で日本への留学を希望する人たちが各国の日本大使館前に集まり、入国を認めるよう求めました。
日本の大学関係者や財界人も、厳しい入国制限によって他国に後れを取るとの危機感を強めています。
欧州ビジネス協会のミハエル・ムロチェク会頭は、日本企業は外国人労働者を受け入れることができず、専門技能の面で遅れが出てきていると指摘します。
国内での感染がすでに広がっているのに、入国制限は「いささか理不尽」だとして、「外国人差別ではないかとさえ思える」とも語ります。
財界も不満を募らせています。経団連の十倉雅和会長は24日、厳格な入国規制を「鎖国」に例え、現行の措置は「現実的ではない」として岸田首相に見直しを求めました。
こうした中、日本政府は国費留学生87人の入国を例外として認めたほか、人道上や国益上の特段の事情がある場合は柔軟に対応する考えを示しています。しかし、海外で足止めされている人たちの声に応える策はいまだ示されていません。