岸田首相、非核三原則の立場から「核共有を認めるのは困難」
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日本の岸田首相
日本の岸田首相が、米国の核兵器を日本に配備して共同運用する「核共有(核シェアリング)」政策について、「認めるのは難しいと考えている」としました。
日本の報道各社によりますと、岸田首相は2日水曜の衆院予算委員会で、この問題について、「平素から自国の領土に米国の核兵器を置き、有事には自国の戦闘機等に核兵器を搭載、運用可能な態勢を保持することによって、自国等の防衛のために米国の核抑止力を共有するという枠組みを想定しているというのであるならば、これについては、非核三原則を堅持している立場から、さらに申し上げるならば、原子力の平和利用を規定している原子力基本法をはじめとする法体系から考えても、政府として認めることは難しいと考えている」と述べています。
広島1区から選出された議員でもある岸田首相は、核兵器不拡散の方針を支持しており、核兵器のない世界の実現要求を明確にアピールしています。
岸田首相が日本国内でのアメリカの核兵器配備に反対したことは、日本が第2次世界大戦後に掲げている戦略の枠組みでのものです。
岸田首相は、国内への米核兵器配備が、日本の国力強化につながらないのみならず、国内世論の敏感な部分を逆なでするとともに、これまで以上に日本と近隣諸国の関係を悪化させるであろうことを熟知しています。
日本は、第二次世界大戦時に広島と長崎に核爆弾を投下され、この二都市は焦土と化したことから、戦後はこれを受けて「持たない、作らない、持ち込ませない」とした非核三原則を国是として掲げており、現在までもこれは守られています。
国内でのアメリカの核兵器配備に日本が反対したのは、非核三原則に基づく戦略に沿ったものとして解釈されるとともに、国内でアメリカとのあらゆる軍事協力拡大や、通常の範囲を超えた協力という局面に入ることが、日本国内で物議をかもしているという状況も踏まえています。
もっとも、ここで注目すべきことは、日本政府が取るアメリカとの軍事・武器面での協力拡大措置が、どのようなものであれアメリカの同盟国が行う措置として受け止められ、極東アジアの近隣国の反発を受けるだろうということです。
日本とアメリカと軍事・武器面での協力に神経を尖らせ、これを自らの国益への脅威とみなしている国には、中国と北朝鮮が挙げられます。
アメリカは近年、日本や韓国との戦略的協力を拡大する政策を追求してきたことに加えて、同時に北朝鮮にとって新たな問題を生み出したほか、台湾や南シナ海、香港などにおいては特に中国にとっての問題を引き起こしています。
このため日本政府は、地域や国内が敏感になっていることも考慮に入れると、国内への米核兵器の配備をはじめとした対米戦略的協力拡大問題において特別な不安と向き合うことになり、当然ながら岸田首相はこれに関するアメリカの提案を明白に否定しています。
一方、FNNプライムオンラインなどの日本のメディアによりますと、日本の安倍元首相は先月27日のフジテレビの番組で「核共有」について、ドイツやイタリアなどNATOに加盟する欧州諸国を例に挙げ「世界はどのように安全が守られているかという現実の議論をタブー視してはならない。日本の国民の命、国をどうすれば守れるか、さまざまな選択肢を視野に入れて議論するべきだ」と語っていました。
同時に安倍氏は、日本は「被爆国として核廃絶の目標に向かって進んでいくことは大切」とも強調しています。

