自民党、「反撃能力」保有を政府に提言 実現にはなお課題
(last modified Thu, 28 Apr 2022 11:16:32 GMT )
4月 28, 2022 20:16 Asia/Tokyo
  • 岸田首相と小野寺五典会長
    岸田首相と小野寺五典会長

自民党の安全保障調査会は27日、いわゆる「敵基地攻撃能力」を「反撃能力」に改称した上で保有を求める提言を岸田首相に手渡しました。

時事通信によりますと、この提言では、弾道ミサイル技術の進歩を念頭に「迎撃のみではわが国を防衛しきれいない恐れがある」と指摘。これまで保有が議論されてきた、日本を攻撃する外国領土内の基地を攻撃する能力「敵基地攻撃能力」を「反撃能力」と改称し、その保有を求めました。反撃の対象には、「指揮統制機能等も含む」としています。

また防衛費についても、NATO・北大西洋条約機構がGDP比2%を目標にしていることに触れ、「5年以内に必要な予算水準の達成を目指す」としています。

同調査会の小野寺五典会長は、27日の首相との面会後、「反撃能力」への改称について、「このような言葉の方が正確な能力の内容を伝えることができるのではないか」と語りました。

「敵基地攻撃能力」という名称については、公明党などから「先制攻撃と誤解される可能性がある」との声が出ており、与党内で見直しの動きが出ていました。複数の関係者によると、「反撃能力」という呼称には首相の意向が大きく反映されているということです。

提言を受け取った岸田首相は、「しっかり提言を受け止めて議論を進める」と述べました。しかし、実際に「反撃能力」を保有するとなると、技術的困難に加え、広範な防衛能力向上が必要となり、ある防衛省幹部も防衛費増加がなければ何もできないと語っています。

一方、野党・立憲民主党の泉代表は、今回の提言が反撃対象として指揮統制機能も含むとしていることについて、「場合によっては憲法違反になりかねない」と指摘。共産党の田村政策委員長も「名前を変えても同じ。先制攻撃の危険性を広げる」と批判しています。

 


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