9月 07, 2023 15:56 Asia/Tokyo

6日水曜は、イスラム歴1445年サファル月20日にあたり、イスラム教シーア派の行事・アルバイン(アラビア語で数字の40の意)の日でした。

西暦680年に当たるイスラム暦61年のモハッラム月10日、現在のイラク・カルバラの地で、シーア派3代目イマーム・ホサインとその家族・教友らが、政敵であるウマイヤ朝カリフ・ヤズィードの軍隊の手にかかり、殉教しました。

アルバインの行進

 

彼らのこの殉教から40日目を追悼する儀式が、イスラム暦サファル月(モハッラム月の翌月)20日のアルバインの日です。毎年サファル月が始まる頃になると、世界各地から多くのシーア派イスラム教徒が、イラクの聖地ナジャフからカルバラを徒歩で踏破する大行進の行事に参加します。

この行進には多くの重要な政治的メッセージが込められています。そのひとつが、行進の参加者にはシーア派あるいはイスラム教徒ではない人々も含まれており、そうした平和的共存が何よりも重要な政治的メッセージだということです。

アルバインの行進は、グローバル化の時代において、シーア派の教えを基本とした協調や共存、文化の融合の新たな見本を示すことで、新しく大きなアイデンティティを作り出し、イスラム世界の誇りをもたらしました。アルバインの行進に参加する人たちは、自らをひとつの共同体・ひとつの文化の中に見ることができるのです。

アルバインの行進は、各国の人々が民族や信仰の枠を越えて、少しの対立もなく共に生きていけることを証明しました。

この平和的共存は、一部の国際関係学者らが持つ「国際関係における無政府状態は各国政府によってもたらされる」という考えを裏付けるものだと言うことができます。

アルバインの行進

 

アルバインの持つもうひとつの政治的メッセージは、武力や力を利用せずして恒常的な安全を確保できるということです。アルバインの行進は、ひとつの巨大メディアとして、様々な文化や宗教的価値観が共存できることを示しています。

シオニストたちが信仰を弾圧や差別の道具として使っているのに対し、イスラム教徒たちはアルバインを占領、暴力、弾圧、差別のない安全を示すメディアとして活用しています。

他にも、アルバインは力や団結、一貫性をもたらすものでもあります。

世界の覇権勢力がSNS上で国民間のヘイトを煽っているのに対し、アルバインは力や団結、一貫性を示す場であり、そこに負のメッセージや内容は一切存在しません。

アルバインの行進

 

最後に、このアルバインに2000万人の人々が参加することは、イラクでタクフィール主義テロリストやテロ組織ISISが敗北し、これ以上ない安全が確立していることを証明するものです。

イラクの政治勢力「国民知恵運動」の指導者セイエド・エマール・ハキーム氏が述べたように、この猛暑の中、数百万人の巡礼者が様々なルートでアルバインの行進に参加したことは、それだけでイラクの治安状況が改善したことを示すものなのです。

 


ラジオ日本語のソーシャルメディアもご覧ください。

Instagram     Twitter     urmediem


 

タグ