イラン・イスラム共和国建国と西アジア抵抗の礎を築いた男:イマーム・ホメイニー師の14の視点
(last modified Mon, 03 Jun 2024 08:58:02 GMT )
6月 03, 2024 17:58 Asia/Tokyo
  • イラン・イスラム共和国を築いたイマーム・ホメイニー師
    イラン・イスラム共和国を築いたイマーム・ホメイニー師

1979年のイスラム革命を指導し、現在のイラン・イスラム共和国を築いたイマーム・ホメイニー師(1902~1989)は、時代や場所のニーズに応じた新しい社会統治のあり方を提示しました。

ホメイニー師は、イスラム法学者および革命指導者として、イラン社会の文化、学術、政治、軍事に開花した成果をもとに、植民地主義勢力からの独立に成功し、それをレバノンからイエメンに至る西アジアに広めました。

ホメイニー師はイスラム運動をイスラム的統治の理論から始めました。彼は、覇権主義体制を非合法と呼び、神の教えに基づかない統治体制はすべて拒否しました。

 

イマーム・ホメイニー師


ホメイニー師は、カリフ制、立憲君主制、法学者の統治といった既存の理論を「イスラム共和制」という概念へ昇華させました。これがホメイニー師のイスラム運動と他のイスラム運動が異なる点です。

ホメイニー師が率いた革命運動がイラン王政を打倒したことは、現代のイスラム覚醒運動において重要な出来事でした。ホメイニー師とその同志たちの最大の成果は、イラン・イスラム共和国憲法の制定でした。この憲法により、現代のニーズに応じたイスラム社会の統治のあり方が初めて明文化され、イラン国民およびその代表者らによって承認されたのです。

イラン・イスラム共和国憲法は、イスラム的教えとルネサンス以降の人類の英知が合わさった結晶でした。その内容はイスラムと近代知の両方に立脚していました。たとえば、国民参加による議会や三権分立といった各国に共通するものから、議会を補完する監督者評議会、専門家会議、公益判別会議といったイラン独自のものが定められています。

 

ホメイニー師と現在の最高指導者ハーメネイー師

 

ホメイニー師はまた、東西両陣営にも与せず、アメリカやシオニズムの世界的覇権に対して「イスラム共同体の抵抗戦線」を唱えました。

ホメイニー師が率いたイスラム革命は、世界やイスラム諸国の思想・政治風景を一変させました。この革命の影響を受けて、「イスラム革命の時代」「政治的イスラム」「宗教的統治」などの概念が国際関係や世界の政治・革命思想を席巻しました。

ここでは、ホメイニー師の言葉から、その政治・統治思想を表すものを見ていきましょう。

 

1.イスラム統治の原則

イスラム統治には「統治者の公正さ」「ムスリムによる自己決定権と統治者への意見表明の自由」「外国勢力による干渉からの独立」の3つから成る。

2.共和制の種類

イスラム共和制も一般的な共和制の一種である。その法律がイスラム法にもとづく点だけが異なる。

 

革命成立前、フランス滞在中のホメイニー師


3.イスラム共和制の役割

イスラム共和制の役割は、国民の独立と自由、不正・腐敗との闘い、経済・政治・社会・文化の各分野におけるイスラムにもとづいた法制定・改正である。この改正は完全な国民参加によるものでなければならず、その目的は何よりも、圧政に虐げられる国民の貧困解消と生活状況の改善である。

 

4.立法府の地位

議会とは、国民が自らの代表を自由に選び、彼らが国政について討議し合うものである。

 

5.選挙と一般意志

王政崩壊後に統治を担う集団にとって最も重要な務めは、特定の階層や集団に影響されることのない自由選挙の実施である。

 

6.外交原則

イスラム政府の役割は、独立の保持、国民・政府・国家の自由、大国・小国を区別しない相互尊重である。

 

7.パレスチナ問題と独立を求める世界中の民

イランは常に世界の独立を求める人々、とくにパレスチナ人を支持してきた。我々は常にその闘争を支持し、支援してきた。

 

8.ムスリムの団結

世界中のムスリムやイスラム諸国の各国政府が団結することは、私の人生の計画の筆頭である。私は、イスラム諸国の政府どうしの対立やムスリム間の分断につながるような出来事を懸念している。

 

9.被抑圧者と社会正義

私は、イラン・イスラム共和国の成立と我々の成功により、イスラム的正義が実現することを望んでいる。それにより、労働者やすべての人々の問題が解決されるべきだ。

 

ホメイニー師とその家族

 

10.自由

自由は国民のものだ。法が自由を与える。神は人々に自由を与え、イスラムが自由を与えた。憲法が人々に自由を与えた。

 

11.正義

イスラムでは神は公正な存在だ。預言者もイマームたちも公正だ。統治者も公正である間は信頼される。

 

12.人権

表現の自由、選挙の自由、出版の自由、放送・広告の自由、これらはすべて基本的人権の一部である。

精神的拠り所がなければ、人間は改善しない。精神的拠り所があって初めて人間は改善し、人権は守られる。

 

13.脱植民地主義

イスラム政府と諸国民の進歩を妨げたい勢力との間に対立が生じている。彼らからは考える力が奪われている。植民地主義勢力により、失望や絶望がイスラム指導者の間にさえも広まっている。彼らから打開策を考える力が奪われている。希望はまだ老いを知らない若者たちである。彼らならどんな手段を使っても国民を目覚めさせることができる。

 

14.対米批判

何億人ものムスリムの権利の無視、暴力の拡散、イスラエルによるムスリムの権利の侵害の容認、これらはアメリカの歴代大統領の犯罪歴である。

 

民衆の中のホメイニー師

 

イマーム・ホメイニー師は、時代や場所のニーズに応じた新しい社会統治のあり方を提示しようと奔走しました。そして実際にオリジナリティを発揮し、イスラムの政治思想を時代に合わせて新しい社会統治の形として示したのです。

イスラム政治思想の核心は、権力の公正な分配と国民参加です。そして、統治の本質的役割は、人々の生活を考え、自由や正義を実現することです。

 

 


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