EUが、サウジ皇太子の欧州訪問を正当化
EUが人権活動家の批判かわすため、サウジアラビアのムハンマド皇太子による欧州訪問について、これを自然な外交関係の一部だとして正当化しました。
サウジアラビアの工作員による同国の反体制派ジャーナリスト・カショギ氏の惨殺から4年が過ぎた中で行われた、ムハンマド皇太子による欧州訪問について、批判が噴出しています。
この訪問は、2018年にトルコ・イスタンブールのサウジ領事館で起きたカショギ氏暗殺事件以来、初めてのものとなります。
ロイター通信をはじめとした各国際メディアは、フランスのマクロン大統領とムハンマド皇太子との会談が、ウクライナ戦争のさなかに主要な産油国の一つとしてのサウジの支援を得るための、西側諸国の努力の一環だとしました。
人権活動家らは、欧州がムハンマド皇太子を歓迎するのは、人権よりも石油を優先する行為だと判じています。
EUのピーター・スタノ外交・安全保障政策担当報道官は、このような強い批判にもかかわらずムハンマド皇太子によるギリシャ・フランス訪問を擁護しました。
同報道官は記者会見において、「これは、我々の関係の自然なプロセスの一部である」と述べました。
続けて、「EUは、エネルギーを含むさまざまな分野でのサウジとの関係強化に関心がある」としました。
そして、カショギ氏殺害に対しEUが取る立場に変化はないと強調しながら、「この事件について、完全な調査および解明、説明責任が行われることを我々が期待しているのは、しごく明白である。この問題は、(今後も)提示され続ける」と説明しました。
ムハンマド皇太子は26日火曜、ギリシャ首相との会談のために同国に入り、翌27日水曜にはフランスでマクロン大統領と会談しました。
フランスの左派政治家や人権擁護者らは、自国の大統領がムハンマド皇太子を歓迎したことについて、SNSなどで批判を展開しました。
国際人権NGOヒューマン・ライツ・ウォッチのフランス代表であるベネディクト・ジャンヌロー(Bénédicte Jeannerod)氏は、「マクロン大統領は、欧州で”サウジ皇太子を無罪放免にする”という危険を冒している」と指摘しています。