米デンバー大教授、「ラシュディ氏襲撃にモサド関与の可能性」
米デンバー大学・中近東研究所のハーシェミー所長は、作家サルマン・ラシュディ氏が襲撃された事件にシオニスト政権イスラエルの諜報機関・モサドが関与している可能性があると語りました。
ラシュディ氏は、1988年に著書『悪魔の詩』の中でイスラム教の預言者・モハンマドを侮辱しました。今月12日、ラシュディ氏は米ニューヨーク州のシャトークア研究所で講演した際、男に刃物で襲われました。
米デンバー大学・・中近東研究所のナーデル・ハーシェミー所長は、ラシュディ氏襲撃事件にシオニスト政権イスラエルの諜報機関・モサドが関与している可能性を指摘し、シオニスト政権イスラエルがこのような犯行を秘密裏に実行する動機として、2015年成立のイラン核合意に対する反対を激化させることにあるとしています。
ハーシェミー氏は、もう一つの可能性として、イランが、2020年に当時の革命防衛隊ゴッツ部隊のソレイマーニー司令官が米国により暗殺されたことの報復を図ったことも考えられるとしています。
ハーシェミー氏はさらに、米司法省がラシュディ氏襲撃事件の数日前に、イラン革命防衛隊がポンペオ前国務長官やボルトン元国家安全保障問題担当大統領補佐官の暗殺を計画していたと主張したとしました。
同氏は、ラシュディ氏襲撃事件へのイスラエルの関与について、「イスラエルは核合意復活について極めて厳しい姿勢をとっている。我々はデリケートな交渉を行っていた。合意間近なところでラシュディ氏が襲撃された」と述べました。
ハーシェミー氏のこうした表明の一方で、米議会の共和党議員らは、アメリカの大学機関にイランのプロパガンダが浸透していると主張し、今後数カ月以内にこの件に関する調査が行われるとしました。
それによると、この共和党議員らは、イランや中国をはじめとする外国勢力の米大学機関への浸透と称するものに対抗するため、共和党が多数派を占めると予測される11月の中間選挙以降にいくつかの計画を提出したいとしています。
米下院の共和党議員であるジム・バンクス氏は、「反ユダヤ・反米主義の思想が全米の大学で広まっており、学生たちの頭脳を毒している。共和党は、イランによる反ユダヤプロパガンダを広める大学教授を監視しなければならない」と述べています。
アメリカは、宗教上の尊崇対象への侮辱を「表現の自由」とする一方で、イスラエルについてはささいな批判も許していません。
ラシュディ氏襲撃事件にイランが関与しているとの主張がされる中、実行犯のハディ・マタル容疑者は取り調べに対し、自身がイランと関係があったとする米当局の主張を否定し、完全に単独で犯行を実行したと述べています。