赤十字、「イエメン人道状況の2023年改善は難しい」
ICRC赤十字国際委員会が、来年にイエメンの危機的な状況が改善されることはないだろうと予測しました。
ICRCは声明において、「イエメンの人道状況は、同国での戦争の解決策がないこと、経済や気候面での危機の悪化、イエメンでの人道活動や開発に対する信用度低下などにより、 2023年中の改善は期待できないだろう」としました。
そして、 「OCHA国連人道問題調整事務所の報告によれば、2023年にはイエメンで約2160万人に人道援助や支援が必要になるとされている」と指摘しました。
また、ICRCイエメン代表部カタリーナ・リッツ首席代表の言葉を引用し、「イエメンの戦争が8年続き、暴力や経済問題が続いていることで、同国の人々が状況に適応する力は奪われている」としました。
同首席代表の引用はさらに、「紛争のすべての当事者は、戦争法を遵守し、民間人へ損失を与えないよう努めなければならない。イエメン国民の痛みや苦しみは、対話への復帰や政治的解決にたどり着くことでのみ(無くすことが)可能である」と続きました。
サウジアラビア、アメリカ、アラブ首長国連邦、および他の複数の国から成るアラブ連合は、2015年3月よりイエメンへの軍事侵攻を開始し、同国を完全に封鎖しました。
アラブ連合軍は、イエメンから数百万バレルの石油を盗み出しているだけでなく、同国へ燃料を運ぶ船舶の拿捕や入港妨害により、戦争で荒廃したこのアラブ圏最貧国に、石油製品、燃料、医薬品などの不足の危機を引き起こしています。
イエメン国民は、アラブ連合軍が勃発させた戦争により、世界最悪規模の人道危機に見舞われています。
国連によれば、イエメン総人口3000万人の約4分の3にあたる、子ども1200万人余りを含む2300万人以上が、8年目になろうとするイエメン戦争により人道支援を必要としています。
さらに同国では、200万人以上の子どもたちが栄養失調となっているほか、900万人の子どもを含む1700万人以上が、上水道、衛生、医療などが行き届いていないことにより苦しんでいます。