アルゼンチン・イスラエル相互協会爆破事件;アルゼンチン司法体制に対するイスラエルの影響力と反イラン的プロパガンダ
(last modified Mon, 15 Apr 2024 08:54:25 GMT )
4月 15, 2024 17:54 Asia/Tokyo
  • アルゼンチン・イスラエル相互協会爆破事件;アルゼンチン司法体制に対するイスラエルの影響力と反イラン的プロパガンダ
    アルゼンチン・イスラエル相互協会爆破事件;アルゼンチン司法体制に対するイスラエルの影響力と反イラン的プロパガンダ

1994年7月18日、アルゼンチン・ブエノスアイレスにある現地在住ユダヤ人所有のアルゼンチン・イスラエル相互協会本部ビルが爆破され、85人が死亡、300人以上が負傷しました。この事件後、シオニスト政権イスラエルの企みにより、明らかに偽装された虚偽の反イラン的証拠・証言が多く提示されましたが、同政権とアルゼンチン国内のその工作員はさらに、この件でイランに罪を着せる工作を続けました。

イスラエル政権寄りのシオニスト判事

アルゼンチン・イスラエル相互協会爆破事件の審理は、アルゼンチンのフアン・ホセ・ガレアーノ連邦判事に委ねられました。しかし同判事は後日、事件の捏造や、事件の証人となった人々への贈賄など11件の容疑で起訴されています。

ガレアーノ判事は、イランがこの爆破事件に関与したという自身の説の裏付けにするため、亡命イラン人を含む数人に対し、匿名で証言するよう強制しました。さらに、アルゼンチン諜報機関からとして盗難車ディーラーに40万ドルの賄賂を払い、裁判において、イランから爆破任務を引き受けたレバノンのシーア派組織ヒズボッラーの分子にトラックを準備したと証言させました。

同判事はまた、イランの元駐アルゼンチン大使・ソレイマンプール氏を含めた外交官8人に対し、国際手配の命令を出し、そのためにソレイマンプール氏は同年、イギリスで拘束されました。しかし、ガレアーノ判事が提出した資料はイギリスの裁判所に認められず、ソレイマンプール氏は保釈となり、最終的には同国裁判所から出されtた無罪判決が確定して、裁判は終了しました。この判決は、同事件においてガレアーノ判事がイラン外交官の有罪を証明しようとイギリスの裁判所に提出した6000ページの資料が捏造されたものであること、そして、アルゼンチンの司法体制にシオニストが影響力を持っていることを、明確に示すことになりました。

アルゼンチン司法評議会は、2005年8月3日にガレアーノ判事を罷免し、その資格も剥奪しました。

ガレアーノ判事が罷免されたことは、同氏がアルゼンチン・イスラエル相互協会爆破事件に関わった11年間に提示してきたイランおよびイラン人に対する疑惑のすべてが虚偽であったことを、明確に示しています。

もちろん、同判事がこの事件に関連してアルゼンチン司法体制に送り込まれていたイスラエル勢力の唯一の代弁者ではないことは明らかであり、その罷免によって反イラン的告発が中断されることはありませんでした。

 

アルゼンチン・イスラエル相互協会爆破事件をめぐるプロパガンダ式典に出席するアルゼンチンの首席ラビ(左)とイスラエル政権のネタニヤフ首相夫妻

 

裁判所が認めたイスラエルの嘘

事件の審理がガレアーノ判事からカニコバ・コラル判事の担当となり、アルゼンチン・イスラエル相互協会爆破事件をめぐる対イラン疑惑とその内容が明白な捏造だったことが判明したにもかかわらず、アルゼンチン政府は2006年5月21日にまたもや、シオニスト団体および事件犠牲者遺族が設立した新団体の圧力を受けて、同事件の被告らに対する無罪判決を取り消すべく、再審を開始しました。しかしこの裁判は、原告側とその弁護人の意見陳述の後に、以前の無罪判決及び、アルゼンチン政府およびガレアーノ判事の有罪を認めた上、改めてシオニスト団体の虚偽の主張を無効なものだとしました。

 

インターポール事務総長もイランに有利な発言

アルゼンチン政府が2004年にこの件に関して抗議した後、その判断はインターポール・国際刑事警察機構の年次総会に付託されました。しかしインターポール事務総長も、「アルゼンチンの判事は、アルゼンチン・イスラエル相互協会爆破事件関連の審理において不正行為を行った」と述べ、同事件にイラン人が関与したとする告発や噂を全て否定しました。さらに、インターポールに加盟する計100カ国のうち95カ国がイランに有利な票を投じました。いずれにせよ、この件に関してアルゼンチン政府に対し米国とシオニスト政権イスラエルが政治的圧力をかけたことは、多くの者が認めています。

 

イランへの疑惑裏付ける証拠は1点も提示されず

アルゼンチン・イスラエル相互協会爆破事件をめぐる論争は世界中で繰り広げられてきましたが、この事件の担当判事が数回交代したにもかかわらず、どの裁判においても、イランに対する疑惑の証拠は提示されませんでした。しかしこの事件は、完全に政治的な理由から非合法なかたちで、解決済みとされず、シオニスト政権イスラエルはイランから圧力にさらされるたびに、この事件を再度持ち出しています。また、米国のような世界大国もこの事件を終わらせず、イランを一部国際機関の圧力下に置く道具としています。一方、イランのような国がひとつの地域で短期間に二度も爆破事件を起こすとは考えがたい上、その時期も全く適切ではありませんでした。実行場所も、より大々的に報道される可能性から言えば、他の多くの国にあるイスラエル大使館の方が適切だったはずです。

 

アルゼンチンに浸透するシオニズム

イランのヴァヒーディー前国防軍需大臣は、あるメディアとのインタビューでこの事件を取り上げ、次のように語りました。

「私が分析したところでは、アルゼンチンはイランとの関係を拡大しようとする時、また、シオニスト政権イスラエルは自身の犯罪が国際世論から槍玉に上げられる時、いつでもこの大嘘を持ち出そうとする。アルゼンチンがイスラエル政権に証拠の提出を求めると発表したが、彼らがそのようなものを一切持っていなかった時、そして、アルゼンチンが同事件前に別の爆破事件があったことを理由にその件をなぜ追求しないのかと尋ねた時でさえも、彼らはそのようにした。世界でこのようなシオニスト政権の嘘の主張を受け入れる者は勿論いないが、アルゼンチンでは、シオニストが深く入り込んでいる」

 

反イラン組織MKO

さらに、アルゼンチン労働組合のアリア代表の話では、この数年、シオニストロビーおよびMKO・モナーフェギンなどの反イランテロ組織による大量のプロパガンダにより、事実の解明が妨害されてきたということです。同氏の調査によれば、アメリカ当局が驚くような形でこの件に介入しており、自国の見解に反対する判事の解任さえ行っているということです。

 


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