イスラエルはヒズボッラーの罠に嵌るのか?
シオニスト政権イスラエルの軍事行動とレバノン南部への攻撃の可能性をめぐり、メディアや政界のざわめきが高まるとともに、ヒズボッラーがイスラエルに報復する用意があるのではという憶測が強まっています。
【ParsToday西アジア】レバノンのシーア派組織ヒズボッラー創設の哲学は、占領中のシオニスト軍をレバノンから追放し、イスラエルによるレバノン再侵攻を阻止することでした。メフル通信は最近、記事の中でヒズボッラーに対するイスラエルの脆弱ぶりについて論じました。本稿ではその記事にもとづいて見ていきます。
ヒズボッラーとイスラエルの紛争・戦争は、ヒズボッラーが設立された1980年代初頭に遡ります。両者による2000年と2006年の戦争により、シオニスト勢力の退却、そして国連安保理決議1701号によるこの歴史的成果の確定への道が開かれました。
昨年10月のハマスによる「アクサーの嵐」作戦後、専門家らはヒズボッラーとイスラエルの間の新たな戦いが17年ぶりに再び始まる可能性を提起しています。
米仏及びカタールがこのシナリオの発生阻止に向け外交努力を重ねているにもかかわらず、緊張の度合いは新たなレベルに達していると見られ、今にもイスラエルが南レバノンに向けて進軍する可能性があります。
ヒズボッラーの軍事能力
ヒズボッラーが発表した情報によると、この組織の軍勢の数は約10万人と推定されています。もっとも、一部の西側筋はこの数字を5万人(現役兵3万人、予備兵2万人)だとしています。
米スカイニュースがヒズボッラー保有のミサイルが10万発に達すると報道している一方で、一部の情報筋はこの数字を150発から200発だと報じています。
ヒズボッラーのミサイルの同時発射により、イスラエル占領地ハイファ港のアンモニア貯蔵タンクなどイスラエルの重要中枢インフラを標的にできるようになります。イスラエル軍との戦いにおけるヒズボッラーのもう一つの戦略兵器は無人機であり、イスラエルのアイアン・ドームを稼働させる一方でこの防衛システムを直接狙い撃ちできるのです。
ここ数日、ヒズボッラーの「ダイヤモンド」ミサイルの標的にされたイスラエルのアイアン・ドームシステムの写真が公開されたことは、イスラエル軍にとって新たな驚きの一つとなりました。
ヒズボッラーとの戦争が予想されるシオニスト側にとってのもう1つの悪夢は、対戦車ミサイルと対艦ミサイルであり、かの33日間戦争の記憶が甦る可能性があります。
ヒズボッラーは、被占領地パレスチナとレバノンの国境にトンネルと塹壕のネットワークをも持っており、戦争中はさまざまな国境地点でイスラエルに不意打ちを食らわせる可能性があります。これらの秘密トンネルにより、ヒズボッラーは狙撃兵、対装甲ミサイル、小型無人機でイスラエルの戦車や装甲兵員輸送車を狙うことが可能になります。またこの隠れたネットワークのもう一つの能力は、ヒズボッラー軍がイスラエル占領地の奥深くに入り込めることです。北部戦線の自然状況を利用することで、ヒズボッラーの非対称部隊は17年前よりもはるかに効果的にイスラエルを攻撃できるのです。
昨年10月7日以降の一連の動きからして、イスラエルは占領地北部境界の安全を確立し、そこでのヒズボッラーの弱体化を図るべく、外交交渉ではなく包括的戦争という選択肢を選んだ可能性があります。今、我々はネタニヤフ首相がレバノン攻撃のリスクを受け入れるか、それとも緊張抑制政策を選択するかを見守る必要があるのです。