なぜイスラエルがパリ五輪の保安業務に関与しているのか? 問われるマクロン氏の説明責任
(last modified Sat, 20 Jul 2024 05:27:07 GMT )
7月 20, 2024 14:27 Asia/Tokyo
  • なぜイスラエルがパリ五輪の保安業務に関与しているのか? 問われるマクロン氏の説明責任
    なぜイスラエルがパリ五輪の保安業務に関与しているのか? 問われるマクロン氏の説明責任

シオニスト政権イスラエルは、近く予定されているパリ五輪の保安警備に直接・間接的に関与しています。直接的には、イスラエルはフランスが形成した連合の一部です。しかし、この点で重要なことは、オリンピックの保安警備にイスラエル政権が間接的に参入していることです。

【ParsToday国際】人権を侵害し続けるイスラエルがオリンピック開催の保証に参画することは、恐るべき人道上の逆説にほかなりません。在レバノン・イラン大使館のベフナーム・ホスラヴィー2等書記官はメフル通信への寄稿で、パリ五輪開催におけるイスラエル治安部隊の参加に関する記録を公表しました。記事本文は以下の通りです。

2024年パリ五輪開幕まで残り約1カ月(注:記事執筆時点)となり、選手たちは最後の五輪出場枠を目指しているところである。フランス治安部隊も46カ国から構成される連合を結成し、競技の安全確保に努めている。ここで不可解なのは、フランスによる安全対策に加えて、イスラエルも競技中の選手の安全確保を目的に特殊警備隊をフランスに派遣しようとしていることだ。

ガザ危機勃発後これまで9カ月の間に、イスラエルは3万8000人以上の人々を犠牲にし、しかもその半数は女性と子供であった。この大量虐殺政権・イスラエルの治安部隊がオリンピックの保安警備に参加することには驚愕を禁じえない。人権、平和、差別のない生の保護を理念とするオリンピックに彼らが参入することは大きな矛盾である。この問題を考慮すると、2024年のパリ五輪の保安軽微にイスラエル治安部隊が加わることは、果たして倫理にかなっているのだろうか? 五輪の精神と合致しているだろうか? 五輪競技に込められた良心に悪影響を与えるのではないか? こうした疑問が提起されているのは、当のイスラエルが現在まさにガザの人々を大量虐殺しているからである。

 

五輪:倫理的社会実現への道

オリンピックは紀元前776年に始まって以来、戦争から離れた生き方の哲学として、建設的な競争に基づいて発案された。オリンピック期間中の休戦協定という構想は、古代ギリシャの統治者によって打ち立てられた伝統だった。これは、人間社会が平和と平穏に向かって進もうとしていることを示すものである。そして近代になると、人権の遵守および、平和に満ちた世界の実現という同じ目標を掲げてオリンピックが復活した。各時代の五輪関係者は、スポーツが多様な現代社会の不可欠な部分であり、平和と博愛の象徴であることを示そうと努めてきた。実際、オリンピックはスポーツの普及と世界規模での魅力を通じて、平和な社会の発展を促進する上で重要な役割を果たしてきた。

責任者らは常に、オリンピックを平和と博愛主義に満ちたユートピアの象徴にしようと尽力してきた。このことは、国際社会がこれまで以上に必要としているテーマである。破壊的な戦争や不公正は、今日の人類社会が巻き込まれている現実にほかならない。生存権などの最も基本的な人権の侵害や残虐行為は世界に広がっており、オリンピックは人類の良心の目覚めのきっかけとなり得るものである。

 

五輪期間中の安全と五輪に徹底される精神

競技期間中の安全維持は、オリンピック開催者にとって常に重要な課題である。アスリートの安全および、差別に関係なく隣合って座り興味ある試合の観戦を望む人々を守るための努力は、極めて重要なものだ。今大会の開催国フランスは大会の安全維持のために、46カ国からなる連合を結成した。この連合は、平和、友情、平等に満ちた世界の実現を目指す人類社会の努力の象徴と解釈できる。

しかし、これまでに発表されたニュースによれば、不可解なことに、イスラエルもパリ五輪の保安警備問題に直接・間接的という2つのレベルで関与している。直接的には、イスラエルはフランスが形成した連合の一部となっている。しかし、このことに関して重要な点は、多国籍セキュリティコンサルティング会社を通じた五輪の保安警備の提供にイスラエルが間接的に参画していることだ。このことは平和の精神に反するものだ。

 

五輪精神と矛盾するイスラエル

人権を侵害し続けるイスラエルが五輪の保安警備に参画することは、人道上の恐るべき矛盾である。一部では、フランス当局がパリ五輪の警備管理をイスラエルのセキュリティ会社・ISDSに委託するのではないかと噂されている。ISDSはイスラエルの民間警備会社の1つで、同社の社長兼創設者は元イスラエル軍将校だった人物だ。

ISDSは、イスラエル内外の様々なイベントにおいて、特にサイバーセキュリティや人材の訓練、国際スポーツ大会での保安警備の分野でサービスを提供している。また、今回のパリ五輪で最も重要なセキュリティ担当業者の1つでもある。

一方で、フランスがイスラエルに大会警備への参加を要請したことは、五輪の崇高な目標に反している。現実に、パレスチナ・ガザでは同じイスラエルによる大量虐殺と人災が起きている。加えて、イスラエルがパレスチナ人に対して行っている広範な差別は、恐ろしいアパルトヘイトの象徴でもある。

ガザ地区の病院、学校、難民キャンプが毎日爆撃され、同地区の子供たちや女性への人道支援が阻止されていることは、重大な人権侵害に当たる。オリンピックの安全管理体制にこうした人権侵害勢力が存在するということは、人道的理念への違反を意味する。実際、ISDSとイスラエル治安部隊が大会警備に参加する可能性は、イスラエルがパレスチナ人に課しているアパルトヘイト体制から目をそらす機会を与えることになる。

 

結論

オリンピックは、戦争のない世界の象徴の一つとして差別や不平等なく開催されるべきものだ。また、理想的な社会の実現に向けた人類の最も重要な取り組みの一つと言える。そうした五輪の安全警備の場に、連日ガザで大量虐殺を行うイスラエルが参加することは痛烈な皮肉となりうる。それは、イスラエルの汚名をそそごうとする工作でしかない。フランス政府は、オリンピックを利用して、ガザ地区での人権侵害や大量虐殺から国際社会の目をそらす機会を、イスラエルに与えてはならない。

 

 


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