ナスロッラー師殉教でレバノンのイスラエルに対する抵抗は弱まるか?
イランの作家で政治アナリストのアリー・アフマド博士は、「抵抗の戦線が重ねてきた歴史は、彼らが敵であるシオニスト政権イスラエルとの紛争で様々な打撃を受けても、それらを数週間のうちに常に克服してきたことを示している」としました。
【ParsToday西アジア】カタール衛星通信アルジャジーラは、レバノンのヒズボッラー事務局長・ナスロッラー師の殉教をうけ、地域の安全保障および戦略的問題のアナリストらを対象に、ヒズボッラーおよびレバノンのイスラエルに対する今後の抵抗の見通しについてインタビューしました。
「ヒズボッラー部隊には比類ない連携能力ある」
地域戦略問題アナリストであり、レバノン政府のUNIFIL・国連レバノン暫定駐留軍調整役を務めた経験のあるモニール・チェハデ氏は、「レバノンで最近立て続けに起きた、ポケベル爆破およびヒズボッラーの複数のラドワン部隊指揮官およびナスロッラー事務局長の暗殺といった出来事は、抵抗戦力の活動に影響を与える可能性はあるものの、彼らには模範的とも言える連携があり、事件発生の数時間後には、敵たるイスラエル政権に向けたロケット弾発射を再開していた。このことは、ヒズボッラーが即座にバランスを取り戻す力を持っていることを示した。抵抗勢力は複雑な状況にあっても、イスラエル占領地への攻撃をやめないだろう」としました。
「イスラエルは増加する避難民について考えるべき」
チェハデ氏は続けて、イスラエル占領地北部の戦線の状況について触れ、「同政権はこの地域で深刻な問題に直面している。抵抗勢力の作戦はガザでの戦争が終わるまで継続されると見られる。イスラエル政権のネタニヤフ首相は、占領地北部の住民を帰還させようと努めているが、レバノンの抵抗勢力は、同政権占領地深部120キロのテルアビブ方面にまでミサイルを撃ち込むことに成功した。そこから、イスラエル政権のすべての地域および入植地の住民が避難対象となったと言える。同政権は、12~13万人の避難民の帰還ではなく、100万人超の避難民の帰還を考える必要がある」としました。
「ナスロッラー師殉教でヒズボッラーは制限解いた」
また、ガザおよびレバノン南部という2つの戦線の間に見解の齟齬はないと指摘し、「抵抗勢力は、特にイスラエル政権が越えてはならない一線を越えた後は、(同政権からの)解放に向けて自身の持つ様々な選択肢へと手を広げている。ヒズボッラーも、中距離ミサイルや新型兵器による攻撃を増加させた」と強調しました。
「地上戦は抵抗勢力に有利」
さらに、「イスラエルが地上での軍事作戦開始を望んでいるとしても、接近戦が始まれば、同政権側の空爆をはじめとした支援が停止されるため、抵抗勢力を利することになると言える。抵抗勢力は地上戦での高い能力を持っている。レバノン南部の地理的特徴はガザとは大きく異なっており、通過が困難な場所もある。面積も約5900平方キロメートルと、ガザ全土よりもはるかに広い」と指摘しました。
「抵抗勢力はイスラエルの戦車を破壊できる」
そして、「ヒズボッラーはこの地域に、コルネット・ミサイルなどの大量の対戦車兵器を備えた地下トンネルを持っている。地上戦が起きれば、イスラエルの戦車は戦場に到着する前に破壊されるだろう」と強調しました。
「ヒズボッラ―は打撃をコントロールしてきた」
作家・政治アナリストのアリー・アフマド博士は、イスラエル占領地北部の戦線での戦闘継続は当然のことだとしながら、「今回の戦争がヒズボッラーにとって損失と苦難を伴うものだとしても、抵抗勢力は打撃を徐々にコントロールした。抵抗の戦線の歴史は、シオニスト政権イスラエルから様々な打撃を与えられても、彼らがそれらを数週間のうちに常に克服してきたことを示している。それは2006年の33日間戦争でも同様だった。イスラエルは当時、戦争の初めの段階で大きな打撃を与えたが、抵抗勢力は一週間でそれをコントロールし、状況を変えることに成功した」と説明しました。
「ヒズボッラーの成功には時間が必要なだけ」
そして、「抵抗勢力は、引き続き戦場で強力な存在として、敵に多大な損害を与えるだろう。その実現には、ただ時間が必要なだけだ。敵たるイスラエルは、この1年間にガザ戦争で自身の目的を達成できなかったのと同様に、レバノン抵抗勢力の不変性に対して何かを行えることは、間違ってもないだろう」としました。