イランはユダヤ教徒の殲滅を狙っているのか? イスラエルに対するイランの解決策とは? 知っておくべき6つの事柄
パレスチナ問題に対するイランの姿勢は常に、暴力と無辜の民の殺害の否定でした。
【ParsToday西アジア】イランはユダヤ教徒やシオニストを滅ぼそうとしているのか、あるいはイスラエルに対するイランの解決策は何なのかという疑問に対して、そうした疑問を拡散するプロパガンダに巻き込まれないよう、いくつかの単純な事柄を知っておく必要があります。この記事では、以下に挙げる基本的な点について検討していきます。
1.ユダヤ教徒であることとシオニズムの相違点
ユダヤ教は数千年ものルーツを持つ宗教として、イラン人の国民的および宗教的思想の中で常に尊重されてきました。イランは、バビロン捕囚からユダヤ人を解放したキュロス大王の時代に始まり、イランのユダヤ人コミュニティが自らの生活や宗教的慣習を続け、議会に代表を置く現在に至るまで、歴史を通じてユダヤ人にとって安全な場所であり続けてきました。イランのシオニズム批判はユダヤ人への憎悪が理由ではなく、あくまでもパレスチナ人の権利の弾圧や占領によるものです。イランはユダヤ人の殺害や殲滅を目論んではおらず、危険思想であるシオニズムにも自らに危害が及ばない限り何の用もありません。しかし、そのような抑圧・搾取的な人種差別思想を世界に知らしめることは自らの責務であると考えています。
2. 地域の歴史・文化の一員としてのユダヤ人
イランは、国民・宗教のいずれの点でもユダヤ人には何の問題もないことを繰り返し宣言してきました。こうした姿勢は、人種や宗教に関係なくすべての人々が基本的権利を有するという原則に基づくものです。この観点から、イランはユダヤ人を世界や地域の歴史と文化の一員でこそあれ、敵ではないとみなしているのです。
3. イランが示すパレスチナ問題の解決策:ユダヤ人移民の帰還とパレスチナ住民投票
パレスチナ問題の解決に向けたイランの提言は、2つの合理的・民主的基礎に基づいています。1つは、シオニストが牛耳るイスラエルという偽政権の解体、そして主に1917年以降にヨーロッパ、アメリカ、その他の国からパレスチナの土地にやって来たユダヤ人移民の元いた国への帰還です。この提案は、すべての国の「帰還の権利」の概念を尊重する規則に基づいています。例えば、ユダヤ教を信仰するドイツ人はドイツに、ユダヤ教を信仰するハンガリー人はハンガリーに帰国するといった具合です。
第2に、パレスチナの地の原住民、つまり宗教や民族に関係なく、イスラエルによる占領前もしくは現在パレスチナに住んでおり、さらにはイスラエルによる圧政のために土地を離れたすべての人々に対する自由な住民投票を実施し、元来のパレスチナ人自身が自らの運命を決定できるようにすることです。この提案は、民主的かつ正義を基軸としたものです。
4. 国際法と世界的正義の強調
イランは国際法と世界的正義を遵守しています。パレスチナ問題に対するイランの政策は、国際法や国際条約でも強調されている原則、つまり国民の自決権に基づくものです。これは占領や他者の権利の侵害への反対を意味します。イランは正義の原則を強調するとともに、ユダヤ人とパレスチナ人は歴史ある2つの民族として、国際法と世界的正義の枠組みの中で生きるべきだと考えているのです。
5. 暴力の否定と人道的な解決策の強調
パレスチナ問題に対するイランの姿勢は常に、無辜の民の殺害や暴力の否定でした。イランはこれまでに繰り返し、この危機の解決は戦争や流血によってではなく、対話と民主的プロセスによって実現されると表明してきました。国民投票の実施というイランの提案は、紛争解決のための平和的かつ人道的な方法の強調というアプローチを明確に示すものです。
6.植民地主義の否定の強調
イランや抵抗の枢軸がイスラエルと戦っているのは、植民地主義計画としてのシオニズムがパレスチナ占領とイスラエル創設を通じて西アジア地域に侵入したことが理由です。この侵略はパレスチナ人の権利と土地を侵害しただけでなく、彼らの主張によれば、影響力拡大により地域内の他の土地の占領というイスラエルの長期計画の一環でもあるとされています。イスラエルの拡張主義政策及び近隣諸国に対する脅迫は、西アジアの安全と安定を危険にさらしており、この侵略に対する抵抗が必要となっています。
イランは人間中心主義的なアプローチで、ユダヤ人移民を彼ら自身の本来の土地に帰還させ、パレスチナ住民に対する住民投票を実施することをパレスチナ危機の解決策と考えています。もっとも、その解決策とは政治レベルだけでなく、正義と人権尊重の原則に根ざした倫理・哲学的レベルでも必要であり、当然ながら、何者かが対話や文明のルールではなく武器と暴力に訴えた場合には、そうした勢力は然るべき報復を受けることになるのです。