米ロの軍拡競争に、NPT再検討会議議長が懸念表明
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アメリカのバイデン大統領とロシアのプーチン大統領(アーカイブ写真)
NPT核不拡散条約第10回再検討会議の議長を務めるアルゼンチンのグスタボ・スラウビネン氏が、アメリカとロシアの間の軍拡競争について懸念を表明しました。
ロシアのスプートニク通信によりますと、スラウビネン氏は、「アメリカとロシアの間で結ばれている新戦略核兵器削減条約(新START)が更新されなければ、このニ国間に新たな軍拡競争が起こる可能性がある」と述べました。
新STARTは、戦略核兵器コントロールの分野でまだ唯一効力を持っている、重要な軍縮条約です。同条約は、このような兵器の削減を目的に、2010年4月8日にチェコ・プラハで米ロ両国の大統領により署名されました。2011年2月5日に発行し、10年後の2021年2月5日まで有効とされたこの条約に基づけば、両国の大型戦略核弾頭の配備数は各1550発、 弾頭運搬手段の保有数は各800機と、上限を設定されています。
2021年2月5日の失効日を前に、ロシアが新STARTの更新を強く主張したにもかかわらず、当時のアメリカのトランプ政権は、ロシアの備蓄からの超音波兵器排除や中国の同条約参加といった非現実的な条件を提示することで、これが更新されないよう立ち回りました。しかしその後、バイデン氏が米大統領となり、その就任後間もなく、新STARTは2026年2月5日までの5年間延長が決まりました。
新STARTでは、大陸間弾道ミサイル、潜水艦発射型弾道ミサイル、戦略爆撃機などの配備数も、各国最大700 機までと制限されています。
米ニュージャージー州立ラトガーズ大学の科学者らは、ロシアとアメリカの間で本格的な核戦争が発生した場合、50億人以上が死亡する可能性があると推計しています。