米国務長官が中国外相と会談、台湾の平和と安定の重要性強調
ブリンケン米国務長官が、中国の王毅国務委員兼外相と会談し、「台湾の平和と安定の維持が極めて重要になる」との考えを伝えました。
ロイター通信が23日金曜、米ニューヨークから報じたところによりますと、両者は同日、台湾情勢を巡り米中の緊張が高まる中、国連総会が開かれているニューヨークで会談し、偶発的な軍事衝突を避けるため対話を続けることで一致しました。
しかしその一方で、台湾問題を巡っては両国の対立も露呈した形となっています。
米国務省当局者は会談後に記者団に対し「ブリンケン長官は米国の長年の政策に基づき、(台湾)海峡の平和と安定の維持は絶対的に極めて重要との考えを伝えた」と述べています。
米国務省と中国外務省によりますと、ブリンケン氏は「両国関係を安定軌道に戻すことは双方の利益になる」と指摘したと同時に「台湾海峡の平和と安定が地域と世界の繁栄にとって極めて重要だ」とも強調し、大規模な軍事演習を展開した中国による一方的な現状変更をけん制しました。
これに対し王氏は、ペロシ氏らの訪台を念頭に「米政権は『台湾独立を承認しない』と表明しているが、行動はこれに反する」と批判し「現在の中・米関係は米側の不正行為の深刻な影響を受けている」と強調しました。
ペロシ米下院議長の訪台で両国の関係が悪化して以降、米中の大臣級の会談は今回が初めてのことです。
台湾問題を巡っては、バイデン米大統領が最近「台湾が攻撃された場合に、米国が防衛する」との趣旨の発言を繰り返し、中国の反発を招きました。
ブリンケン氏は中国本土と台湾は不可分との中国の主張に異を唱えない「一つの中国」政策に変更はないと釈明しましたが、王氏はバイデン氏の発言を「間違った危険な信号を発信している」と非難しました。
王外相はまた「平和統一と一国二制度の基本方針を堅持する」と改めて示したものの、「(台湾の)独立運動が横行するほど、平和的解決の可能性が低くなる」と釘を刺しました。
中国は、台湾を自らの不可分の領土とみなしており、各国に「1つの中国」の原則の尊重を促すとともに、台湾の分離独立支持と見られる動きに神経を尖らせています。
特に、先だってのぺロシ米下院議長の台湾訪問後には、これに対する反応として中国は台湾近辺での軍事演習を実施しました。