ベネズエラが米国人7人解放、大統領親族と身柄交換
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マドゥロ・ベネズエラ大統領
ベネズエラが、大統領親族と身柄交換という形で、石油会社幹部ら米国人7人の身柄を解放しました。
フランス通信によりますと、ベネズエラは1日土曜、麻薬密売の罪で米国で収監されていたマドゥロ・ベネズエラ大統領の親族2人の解放と引き換えに、拘束していた石油会社幹部ら米国人7人の身柄を解放しています。
ジョー・バイデン米大統領は声明で、「ベネズエラで不当に拘束されていた」7人が帰国すると発表し、また米政府高官は、7人の自由を確保するため大統領が囚人交換という「痛みを伴う決断」をしたと認めました。
解放された7人のうち5人は、ベネズエラ国営石油会社の米国子会社シトゴの元社長ら幹部で、2017年にベネズエラ出張中に汚職容疑で拘束・訴追され、それぞれ禁錮13年余りの有罪判決を受け、残る2人は別の容疑で拘束されていました。
米政府は、7人の罪状は捏造(ねつぞう)されたものだと主張し、米国務省のネッド・プライス報道官は昨年、7人は「政治の駒」にされたと述べていました。
ベネズエラ政府も米国の声明発表とほぼ同時に、米国で「不当に収監されていたベネズエラの若者2人」が、去る3月5日から続けてきた交渉により解放されたと発表しています。
解放された2人の身元についてベネズエラ側は明らかにしていませんが、米政府高官によりますと、マドゥロ大統領の妻シリア・アデラ・フローレス・デ・マドゥロ氏のおいのフランシスコ・フローレス・デフレイタス氏、エフライン・アントニオ・カンポス・フローレス氏の両受刑者だとされています。
この2人は2015年、米当局のおとり捜査により中米ハイチで逮捕され、その後コカイン800キロを米国に密輸しようとしたとして禁錮18年の有罪判決を受け、収監されていました。
しかし、ベネズエラ政府は、この2人がわなに掛けられたと主張しています。
米・ベネズエラ関係はここ数年冷却化しており、米国は不正の疑いが取り沙汰されている2018年の大統領選で勝利したマドゥロ氏の正統性を認めていません。
しかし、ウクライナ危機に伴う世界的なエネルギー不安を背景に、米国は主要産油国であるベネズエラとの最低限の関係改善を水面下で模索していました。