ロシアによるウクライナ産穀物輸出協定の実施停止に、西側が懸念
ウクライナの港から穀物を輸出することで合意したイスタンブール協定の実施を停止するとしたロシアの決定をうけ、一部の欧米当局者から恐れや懸念といった反応が出ています。
ファールス通信によりますと、欧米諸国の一部の当局者は、ロシアがウクライナ産穀物輸出協定の実施を停止したことに懸念を表明し、同国へ協定に復帰するよう求めました。
アメリカのバイデン大統領はこの問題について、クリミア半島南西部セヴァストポリ港でウクライナの無人機がロシア船舶を攻撃したことには言及せずに、ロシアによるウクライナ産穀物輸出協定の実施停止が「圧政的で公正でない」と述べました。
NSC米国家安全保障会議のエイドリアン・ワトソン報道官は、「ロシアは自身で始めた戦争を、食糧を武器に変えるための口実に使い、困窮する諸国民や世界の食糧価格に直接影響を与えている」と主張しました。
欧州委員会も、直接な表現を用いないながら、穀物協定を損なういかなる行動も避けるよう求めました。
イギリスのクレバリー外相は30日日曜、「ロシアに対し、少なくとも世界の一部地域で栄養失調や食料危機に苦しんでいる人々や貧困国に向けてウクライナの港から穀物や食糧が送られるよう、支援を求める」と述べました。
EUも声明を発表し、「この協定は、命に関わる重要な人道措置であり、すべての関係方面は、合意を危険にさらすような一方的な行動を避けなければならない」としました。
ロシア国防省は29日土曜、セヴァストポリが無人機により襲撃された後に、ウクライナと結んだ穀物輸出協定への協力を停止したと発表しました。
セヴァストポリ市の港湾当局も同日、ロシアの黒海艦隊に対するドローン攻撃の後、停泊所が一時的に封鎖され、船舶や小型船の同湾通過が止められたとしました。
ロシア国防省はこの件をめぐり、「ウクライナがロシアの黒海艦隊を襲撃するために16機の無人機を送り込んでおり、その飛行を追跡した結果、クリミア付近の黒海上空を飛行するアメリカの無人偵察機に行き着いた」と報告しています。
同省の発表によれば、ロシア船舶襲撃のために送られたウクライナ軍のドローンはすべて破壊されました。