米専門家、「各国が石油のドル取引放棄すれば米に影響」
米国の専門家が、サウジアラビアや他の数カ国が石油の取引をドルのみで行う「ペトロダラー」を放棄すれば、米国は悲惨な影響を受けることになるとしました。
ロナルド・レーガン大統領政権下でホワイトハウスの職員を務めたポール・クレイグ・ロバーツ氏は、自身のホームページにおいてこのような考えを示しました。
サウジアラビアのモハメド・アルジャダーン財務相は、以前開催された世界経済フォーラム年次総会(ダボス会議)で、石油・天然ガス取引を米ドル以外の通貨で決済を行うことについて議論することに前向きであるとの考えを示しており、ロバーツ氏は、これが米国への重要なシグナルであるとしています。
ロバーツ氏によれば、近年、米国が制裁や資産差し押さえなどでドルの基軸通貨としての役割を乱用してきたため、多くの国が「米国の利益よりも自国の利益に従い、米国側からの脅しを避ける」ために、貿易不均衡を自国通貨で解決したいと望んでいます。
また、世界中にドル需要を保証してきたサウジアラビアがペトロダラーを放棄すれば、米ドルの通貨価値や米国のインフレと金利に深刻な悪影響が出ることになり、「米政権の権力と米国の銀行の財務力は、ドルとともに落ちるだろう」としました。
2022年12月には、中国の習近平国家主席がサウジアラビアを3日間の日程で訪問しており、その際に行われた両国の首脳会談で習氏は、石油取引を人民元で決済する構想に言及しています。
サウジのエネルギー資源を人民元で取引することについては以前から議論されていましたが、最近になって協議が活発化し、実際にすでに下準備(上海取引所は2018年に「人民元」石油先物の取引を開始)が行われており、最終的な合意に達すれば、サウジ産石油の取引がドルから人民元にすぐに移行する可能性があります。