視点
米での相次ぐ銀行破たんとその影響への恐れ
現在、アメリカ社会ではSVBシリコンバレー銀行の破綻によるショックが依然として尾を引いています。多くの有識者らも、アメリカでの経済状況や投資の将来、そして欧州をはじめとする世界各地域への現状の波及を懸念しています。
SVBの突然の倒産は、アメリカの銀行業界にパニックの波を引き起こしており、市場は2008年の金融危機・リーマンショック以来米国内最大の銀行破綻について推測しています。多くの人々の間では、この状況がヨーロッパの銀行を含む世界のほかの地域の銀行に広がることも危惧されています。このたびの米SVBの倒産は、ヨーロッパでの銀行倒産への警鐘を鳴らし、ヨーロッパの政府や企業の間でも懸念を引き起こしました。
SVBの倒産で、バイデン米大統領は同銀行への投資家を安心させようとしました。しかし、アメリカの経済状況は、バイデン政権が銀行預金者を十分に安心させられなかったことを示しています。
ローレンス・サマーズ元米国財務長官は、「シリコンバレー銀行の倒産は、米国経済に多くの影響を与えるだろう。アメリカ政府は、この問題を解決することをすべての人に対し保証する必要がある」と語りました。
かつては、米国のテクノロジー企業の半分に資金を提供していたSVBのこのたびの破綻は、世界中に位置問題を引き起こしています。たとえば、この銀行に合わせて100億ドルを預けていた複数のブラジル企業が資金を喪失しましたが、これは問題のうちの氷山の一角に過ぎません。このほかにもインド、中国、ヨーロッパの多くの企業までもが、シリコンバレー銀行にあった資本を失いました。この状況は、リーマンショックとして名高い、世界経済に深刻な不況をもたらした2008年の経済危機における最大の銀行破綻を想起させるものです。
シリコンバレー銀行の倒産の理由には、アメリカ経済不況など様々な要素が挙げられています。もう1つの理由としては、昨年FRB連邦準備制度理事会がインフレを抑えるために金利を引き上げたことが挙げられます。この決定の後、SVBへの投資の大部分を占めていた先端技術分野で活動する企業は、株価の下落に直面しました。
こうした中、ドナルド・トランプ米前大統領は、バイデン現大統領がアメリカの経済問題の責任者であると断言しました。彼はまた、差し迫ったアメリカの景気後退に言及し、「1929年の世界恐慌よりもはるかに強力な大恐慌が起こっており、銀行破綻のプロセスはすでに始まっている」との見方を示しています。
多くの人々は、バイデン政権が米国の国内問題にではなく、地政学・外交問題に焦点を合わせることにより国内問題を無視した、と考えています。
しかし、多くの人々は、現在の経済状況が過去と同じではなく一時的なものに過ぎず、その影響は政府の行動によって軽減できると考えています。ホワイトハウスのセシリア・ラウズ経済顧問は「我々は、2007年と2008 年の世界的な金融危機に関連した改革とは非常に異なる状況に置かれている。我々は規制機関が現在の状況を制御し、銀行の抵抗力・耐久性を高めるために必要な金融圧力試験やその他の手段を稼動させてある」と語っていました。
しかしながら、このたびのSVBの破綻は、世界中のテクノロジー分野で活躍する企業に多大な損害を与えました。どうやら今後数週間で、この破産の結果により経済分野でさらに多くの動きが見られそうです。