アルバニアの世界最小級コーラン、一家でイスラム改宗へのきっかけに

アルバニアに住む家族に受け継がれてきた、世界最小級のコーランが注目を集めています。

フランス通信が3日水曜、報じたところによりますと、2センチ四方、厚さ1センチというこのコーランの豆本は、アルバニアに住むプルシ家で数世代にわたり受け継がれてきました。

専門家によると、記録に残っている中で最小級とみられ、長い年月を経て黒ずんだ銀色の保管ケースには小さなルーペが埋め込まれており、これを使ってようやく文字が判読できます。

製本時期は、科学的な分析を行っていないため推定が難しいものの、アルバニア首都ティラナにあるベーデル大学のコーラン研究者は少なくとも19世紀まではさかのぼるとみており、「類いまれな」この豆本が「アルバニアにあるのは幸運なことだ」と述べました。

このコーランは、プルシ家がカトリックからイスラム教に改宗するきっかけにもなったもので、一家にとって重要な意味を持っています。

ティラナに住むマリオ・プルシさん（45）さんはいつも同じ儀式を行い。まず両手と顔を清め、世界最小級とされるイスラム教の聖典「コーラン（Koran）」にキスをし、それを額に当てるという習慣を守っています。

ブルシさんはまた、「高祖父母がコソボのジャコビツァに新居を構えようと地面を掘っていると、完璧な保存状態の男性の遺体が見つかった。コーランはこの遺体の胸の上に、無傷で置かれていた」と語りました。

一家はこの発見を神のお告げと受け止め、イスラム教に改宗したということです。

その後、共産主義の独裁者エンベル・ホッジャ政権下であらゆる宗教が禁じられ、信者は投獄されました。しかし、このコーランは豆本だった故に容易に隠すことができ、今日まで残されてきました。

2012年、父親が亡くなる直前にコーランを受け継いだプルシさんは、「この小さな本には、たくさんの物語や恵み、奇跡が詰まっている。非常に大切なものだ」と語りました。

さらに、妻のブレリナさんも「触れるたびに心動かされる」とコメントしています。

なお、これまでに美術館などから買い取りの申し出は幾つもあったにもかかわらず、ブルシさんは「売るなんて考えたこともない。このコーランはわれわれ一族の物。これからもずっと一緒だ」と述べました。

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