米政府のベトナムでの犯罪を告発したエルズバーグ氏が死去
6月 17, 2023 20:52 Asia/Tokyo
ベトナム戦争に関するアメリカ国防総省の機密文書「ペンタゴン・ペーパーズ」を暴露した元軍事アナリストのダニエル・エルズバーグ氏が、92歳で死去しました。
元軍事アナリストのエルズバーグ氏は、1971年、国防総省の文書をニューヨーク・タイムズや他の米メディアに暴露し、ベトナム戦争において同国政府が舞台裏でどのような決定を行っていたかを明らかにしました。ヘンリー・キッシンジャー大統領特別補佐官はこのことから同氏のことを、「アメリカで最も危険な男」と呼びました。
エルズバーグ氏はこの暴露の後、情報漏洩や窃盗などの罪状で115年の懲役刑を言い渡されましたが、世界の世論の圧力を受けたアメリカ政府は最終的に、同氏を無罪にせざるを得ませんでした。
ベトナム戦争においてアメリカは、共産主義への対抗を口実に参戦し、その中で多くの女性や民間人を強姦・殺害しました。 また、1961年から1971年にかけて米軍は、「エージェント・オレンジ」と名付けた猛毒の化学物質ダイオキシンを含む除草剤約1200万ガロンを、南ベトナムの3万マイルにわたって散布しました。
ベトナム赤十字社によれば、この除草剤の被害を受けたベトナム人は約100万人で、そのうち15万人は子どもでした。しかしアメリカ政府は、この統計を否定しました。
この除草剤の影響には、癌、2型糖尿病、先天性小児疾患、脊髄疾患などが挙げられます。
米軍はベトナム戦争中の10年間、交戦勢力が樹木や植物の陰に身を隠すのを防ぐため、ベトナム、ラオス、カンボジアで約2000万バレルのエージェント・オレンジを使用しました。
タグ