米によるウクライナへのクラスター爆弾供与に、国際的反発相次ぐ
アメリカがクラスター爆弾をウクライナへ供与すると発表したことに対し、国際的な反発が相次いで示されています。
アメリカのバイデン大統領は、ウクライナへの武器供与継続に続き、同国へ新たにクラスター爆弾を供与する決定をした、と正式に発表しました。
オーストリアとドイツは、この供与に反対しています。
さらに、国際人権団体のヒューマン・ライツ・ウォッチおよびアムネスティ・インターナショナルもこの件をめぐり、「クラスター爆弾のウクライナへの供与は、民間人の殺害につながる」と警告しました。
一方、NATO北大西洋条約機構のストルテンベルグ事務総長は7日金曜、「NATOは、ウクライナへのクラスター爆弾供与への立場表明は行わない。なぜなら、この種の爆弾の使用を禁止する条約への署名状況が、加盟国ごとに異なるからだ。この件については、これら国々の政府がそれぞれ決定しなければならない」と述べています。
クラスター爆弾の製造や使用を禁止する国際条約(通称:オスロ条約)は、今年4月の時点で111か国が批准しており、別の12か国も署名を済ませています。
クラスター爆弾が禁止されるのは、これらが民間人に与える死を伴う危険性を考慮してのことです。
アメリカによるウクライナへのクラスター爆弾供与決定を受けて、国連のファルハン・ハク事務総長副報道官は、「グテーレス事務総長は、戦場におけるクラスター爆弾使用に反対している」と発表しました。
CIAアメリカ中央情報局の職員だったフィル・ジラルディ氏も、クラスター爆弾の使用が戦争犯罪に匹敵する行為だとしながら、「バイデン政権がウクライナへの供与を決めたクラスター爆弾は、ウクライナ政府を勝利に導くのではなく、民間人の死をもたらすだろう」と指摘しています。
一方、ロシアのアントノフ駐米大使は、「米政府は、人類を第三次世界大戦へと駆り立てている」として、アメリカがウクライナにクラスター爆弾を与えることで、この先長年にわたり民間人を危険にさらすことになる」と警告しました。