8月 30, 2023 16:40 Asia/Tokyo
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ブラジル、ロシア、インド、中国、南アフリカの5か国で結成された新興経済国グループ・BRICSが先日、イランを含む6か国の新規加入を承認したことで、同グループは世界に新たな中心を作り出すと見られています。

BRICSは先週、南アフリカ・ヨハネスブルグで開かれた第15回BRICS首脳会議において、同グループにイラン、アルゼンチン、サウジアラビア、エジプト、UAEアラブ首長国連邦、エチオピアを加えることで合意したと発表しました。これにより、2024年初頭には、この6か国が新メンバーとして正式にBRICSに加わることになりました。

経済・政治的にそれぞれ重要性を持つ6か国のBRICS加入に対する受け止め方の中には、同グループが国際体制に新たな中心を出現させてこれを多極化させうるというものがあります。

このような受け止め方がされる主な要因としては、新メンバー国も含めたBRICS諸国が、世界経済で大きな比重を占めながらも現国際体制の一極主義的な政治秩序に反対している点が指摘できます。

現メンバー国のひとつ・ブラジルの高等教育機関兼シンクタンクであるジェトゥリオ・バルガス財団サンパウロ法科大学院の国際法専門家、サリム・ナセル氏​​は、「BRICSへの加入申請が相次いでいることは、世界的な勢力バランスに絶えず変化が訪れる証左である。BRICSは、アメリカの覇権と競合する新たな経済・政治的勢力の中心になるだろう」としています。

トルコのアナリストであるメフメトアリ・ギュレル氏も、「BRICSは新たな国際体制の最も重要な柱の1つとされており、エネルギー・政治面でのアメリカの権力闘争に大きな打撃を与えた」との見解を示しています。

もうひとつ指摘される点は、BRICSの構成国は新規加入国も含めて、世界レベルの重要な決定を下せることです。

新たな加入が決まった6か国の中でも、特に、サウジアラビア、ロシア、イラン、UAEは、世界最大級の産油国であることから、特にエネルギー分野でのBRICSの影響力が大きくなると見られており、エネルギー分野におけるこれらの諸国の連携や見解共有は、西側諸国、さらには世界経済に多大な影響を与える可能性があります。また、BRICS拡大により、同グループが世界の輸出に占める割合は 20.2%から25.1%に増加します。米ニューヨークに本拠地を置く国際金融グループ・ゴールドマンサックスも、BRICS諸国の経済は2050年までに世界最富裕国の経済と競り合うようになる、と見ています。

さらに重要な点は、BRICSがG7・先進7か国 (米国、カナダ、フランス、ドイツ、イタリア、日本、英国) にとって脅威を抱かせる競争相手となりうることです。

ロシアの通信社は、新たに6カ国がBRICSに加わることにより、同グループのGDP購買力平価の総額が約65兆ドルになると報じていますが、同様に、世界のGDPでBRICS諸国が占める割合は、6カ国の加入により現在の31.5%から37%に増加しますが、G7の割合は現時点で約29.9%です。また、11カ国になった後のBRICSの総国土面積は4,850万平方キロメートルで世界の36%となりますが、これは実にG7の2倍以上です。さらに、新BRICSの総人口はG7の4倍以上の36億人に達する予定で、これは世界人口の45%に相当します。

 


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