検閲強化で反政府メディアの無力化を図るアメリカ
(last modified Wed, 24 Apr 2024 03:19:43 GMT )
4月 24, 2024 12:19 Asia/Tokyo
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    検閲強化で反政府メディアの無力化を図るアメリカ

あなたもおそらくこれまでに、グーグルの検索エンジンで出てきた報道・政治関連のサイトを開こうとした際、セキュリティ上の理由だとしてブラウザに閲覧を止められたことがあるのではないでしょうか。USAID・アメリカ国際開発庁が先日発表した文書では、同国が政府の利益に反する情報の公開阻止や検閲を強化していることが示されており、こうした干渉が今後、さらに激化することが予想されます。

米メディア「MintPress News」によりますと、USAIDによる「Disinformation Primer(偽情報への入門)」では、アメリカ政府が自国のテクノロジープラットフォーム、メディア機関、広告主に対し、ウェブサイトの大部分を検閲すべく政府と協力を行うよう呼び掛けていることが示されました。

この文書で焦点が当てられているのは、アメリカ政府の公式発表に異議を唱えたり、そのシステムへの疑問を増大させるような情報を、個人がインターネット上で見つけられないようにすることです。そこでは、オンラインゲームやそのプレーヤーをソーシャルメディア・プラットフォームと同じ手法で監視することも求められています。

この文書を推奨する者たちは、米動画配信プラットフォーム「Twitch」などにおいて反政府批評家が誤った情報を広める可能性があると主張しています。

 

米公式発表と対立するコンテンツの閲覧阻止で重要な役割を果たすグーグルのブラウザと検索エンジン


米政府にとっての「誤った情報」や「不都合な事実」

この文書はまた、「誤った情報」に加えて「有害な情報」とも対峙すると主張しています。有害な情報とは、真実ではあるものの、国から見て統治方針の枠組みから外れるとされる情報を指します。

USAIDは、アメリカ政府の利益にとって有害もしくは不都合なコンテンツは、それが真実であっても検閲の対象になるとし、また、独立系メディアと無料ソーシャルプラットフォームについて、さまざまな情報や意見などを集められる場を作ることにより批判的な情報の増大を促進しているとしています。

これに加え、Reddit、Discord、4chanといったソーシャルプラットフォームを、「ポピュリスト的専門知識」を生み出しアメリカ政府の見解に置き換わる見解を広めることで、その公式発表に疑問をつきつけて反政府勢力を支援しうる「陰謀論者のウェブサイト」として扱い、それらに対しても前出のゲームサイトと同様に対処し、閲覧されにくいようにすべきだとしています。

アメリカ政府の諸機関はこの10年間、シリコンバレーの各IT企業と協力しながら、自分たちの持つ絶対的権力に疑問をつきつけるオルタナティブ・メディアへのアクセスの抑制を進めており、このことも、同政府が自身の地位を高める欲望を増大させている証左と言えます。

 

自身に敵対する者を殲滅させる米政府

独立系メディアを押さえつけるためにUSAIDが取る重要な手法には、自身とつながりがあり政府の公式発表を伝えるプロパガンダ・メディアを支援し、それと並行して、政府に批判的で問題を起こす各メディアの資金調達を妨害するやり方があります。

さらにもう一つの手法としては、「反対勢力のブランドや信用、評判を傷つける」などの可能な限りの手段を用い、これらの反政府メディアによる情報公開を阻むことが挙げられます。

グーグル、フェイスブック、ユーチューブといったソーシャルプラットフォームは、一方で「反政府的」なコンテンツを減らし、他方で政府の好む物語を宣伝するよう、自分たちのアルゴリズムを変更しました。その結果、質の高い反政府的ニュースを掲載する各サイトの全体アクセス数は一気に激減し、逆に、それまでオンラインでふるわなかったCNNやNBCニュースといった旧来のメディアが、検索結果のトップに浮上しました。

 

関連メディアの支援は、USAIDによる独立系メディア押さえつけの重要な手法のひとつ


クーデターへの誘導や誤った情報の流布を行うUSAID

USAIDにはアメリカの国益増進のために偽情報を流布してきた長い歴史があり、今回の同庁による極端な検閲計画についても大きく懸念されています。

USAIDはキューバで2021年に起きた大規模反政府デモの裏で糸を引いていましたが、その前からも長年にわたり同国の政治に干渉しており、ヒップホップ音楽を通じて反政府勢力の組織化を目論むなど、数多くの工作を行っていました。

USAIDはさらに、キューバで11年前までスンスネオ(ZunZuneo)というSNSを運用していました。このSNSを利用していた数万人のユーザーは、これがアメリカ政府により秘密裏に設計され市場に提供されていたことを知りませんでした。このような大規模サービスの構築は、キューバを自身のコントロール下に置き、政権転覆思想を喧伝して、同国政府打倒を求める抗議活動へとユーザーを誘導するという発想に基づいて行われたものでした。

USAIDはまた、2002年にベネズエラで起きたクーデター未遂にも関与していました。このクーデターにより同国では、選挙で民主的に選ばれた当時のチャベス大統領が一時的に失脚し、親米派の独裁者が大統領の座に着くこととなりました。USAIDはそれ以降も同国で、暫定大統領を自称するフアン・グアイド氏に資金を提供するなど、その民主主義を破壊すべく、さまざまな方法を継続的に試みています。

 

 


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