NATOの危険な政策;平和維持でなく戦争扇動を優先
アメリカの次期大統領選挙に無所属での立候補を表明しているロバート・ケネディ・ジュニア氏は、NATO北大西洋条約機構の主な優先事項が平和維持ではなく、戦争を扇動することにあると指摘しています。
創設75年目となるNATOは、これまでにも旧ユーゴスラビア、セルビア、リビア、アフガニスタンな介入主義的な犯罪とも言える措置を行ってきましたが、それは現在でも、ウクライナでの行動やそれに伴う東方への勢力圏拡大の動きとして続けられています。
パールストゥデイによりますと、今月11日まで米ワシントンで3日間の日程で開催されたNATO首脳会議は、ウクライナ戦争の継続、米国大統領選挙、欧州における極右勢力台頭といった政治的・軍事的危機の中で行われましたが、同機構のストルテンベルグ事務総長はそこで、NATOの拡大および他国への門戸開放が「自明の選択でも簡単な決断でもない」という考えを示し、その理由として、ロシアとの対立をめぐる懸念と恐怖を挙げました。
同事務局長は、ウクライナ戦争について触れながら、「ロシアのウクライナに対する戦争はこの数世代で最大の安全保障上の危機だ。ロシアが勝てば多大な犠牲とリスクが生じる。それを許すわけにはいかない」と述ながら、NATOのウクライナ支援にも犠牲とリスクを伴うことが予測されるが、戦争中には通常、安全やノーリスクという選択肢が存在しないと説明しました。
この一方、オーストリア・ウィーンで開かれた軍事安全保障・軍備管理に関する協議でロシア代表団の長を務めた同国外交官のガブリロフ氏は、「NATO加盟国の現在の行動は核を保有する国の間で紛争が起きるリスクを増大させるものだ」と強調しています。
サリバン米安全保障担当大統領補佐官は先日、NATOがウクライナとの関係を深めるために同国首都キエフ(ウクライナ語読み;キーウ)に上級代表を置くことになったと述べましたが、これは、ロシアが両者の関係拡大について繰り返し警告してきた中で取られた措置です。
米シカゴ大学教授のジョン・ミアシャイマー氏はこれに関連し、「NATOをロシア国境まで拡大させるという考えは、自由主義者の幻想に端を発しているが、今回の戦争の主な原因となったのはこの考えである」という見解を述べています。
また、米ワシントンに駐在するアントノフ・ロシア大使は、今回のNATO首脳会議に言及し、「米国とその同盟諸国は、今回の会議でやみくもにウクライナを支援し、軍国主義の拡大と地域での緊張増大継続という政策を進めようとしている」と述べています。
アントノフ大使は続けて、「同会議は、アメリカとその同盟国の侵略的本質と、全世界に対して自身の要求と目標を押し付ける様を強調して見せた」としました。
そして、「NATOは、あらゆる犠牲を払ってでも存続しようと、他者への中傷を続けている。NATO事務総長はそのために、中国を含めた一部の国に矛先を向け、ウクライナ戦争でロシアを支援しているという非難を行ったのだ」と説明しました。
中国外務省の林剣報道官は、NATO事務局長の自国に向けた非難に対し、「NATOのいう安全保障は他国の安全の犠牲を代償としており、NATOが売り込む『安全保障上の不安』の多くは自らが作り出したものである。NATOが吹聴するいわゆる『成功』『強さ』は、世界にとって極めて大きな危険を意味している」と述べました。
林剣報道官はさらに、「仮想敵を作って存在を維持し、境界を越えて権力を拡大させるのは、NATOの常套手段である。中国に対する『システムへの挑戦』という誤った位置付けに固執し、中国の国内・外交政策を中傷するのも、まさにこの手段だ」と指摘しました。確実に言えるのは、NATOによるウクライナへ武器供与で戦況が複雑化していることであり、ロシアはその結果について、これまで幾度となく警告しています。