ウクライナの露クルスク州への侵攻と、露への力の顕示望む独政府
(last modified Sun, 18 Aug 2024 03:22:08 GMT )
8月 18, 2024 12:22 Asia/Tokyo
  • ウクライナの露クルスク州への侵攻と、露への力の顕示望む独政府
    ウクライナの露クルスク州への侵攻と、露への力の顕示望む独政府

一部の専門家は、ウクライナにはロシア領を攻撃するだけの勇気がなかったものの、アメリカ政府をはじめとした外部の強い扇動により今回の行動に出たのではないかと考えています。

パールストゥデイによりますと、アメリカとドイツの支援を受けたウクライナ軍によるロシア領土への侵攻は、最近大きな注目を集めた出来事のひとつですが、イラン紙ホラーサーンはこの件を、次のように伝えています;

 

ウクライナのゼレンスキー大統領は12日月曜、ロシアのクルスク州に対し行った作戦について、「ロシアは他者に戦争を強要した。 そして今、戦争は元の場所(=ロシア)へと帰った」「ロシアのプーチン大統領は、戦争を強く望んでいる。ロシア政府に平和を受け入れさせることができるのは、武力のみである」と述べました。

一方、ロシアのプーチン大統領は、国防・安全保障関係の自国高官らと行った会議で、「ウクライナがロシア領に対し軍事作戦を実施したのは、この先の和平交渉でより良い立場を得るためだ」「ウクライナ政府は今回の作戦がロシアに混乱と情勢不安をもたらすと考えていたが、そのようにはならなかった」としました。

プーチン大統領はさらに、この攻撃を受けて戦場へと志願するロシア国民が増加したとしながら、ロシア軍がウクライナ東部における軍事作戦を今後も継続していくことを強調しました。

大半のアナリストはこの件について、ロシアがごく近いうちに自国領土よりウクライナ軍を撤退させるだろうが、ウクライナは、戦争が長引けばロシア領土も安全ではなくなるというメッセージをロシア大統領府の指導者らに伝えたかったのだろう、と見ています。

長期戦に必要な余剰の兵力がないウクライナにとって、今回のロシア領に対する反撃は、ロシア軍をドンバス地域から撤退させ、かつロシア兵に恐怖を感じさせることのみが目的であることから、一時的なものになると考えられます。

 

アメリカによる扇動

一部の専門家は、ウクライナにはロシア領を攻撃するだけの勇気がなかったものの、アメリカ政府をはじめとした外部の強い扇動により今回の行動に出たのではないかと考えています。またある分析は、アメリカが大統領選を前にして自国民に、自分たちの政策がウクライナの戦場に有効に働いているかのように見せようと目論んでいるとしています。そのためにアメリカ国防総省のサブリナ・シン報道官は、クルスクへの攻撃を擁護して、「ウクライナ軍の攻撃は、我が国の政策に沿ったものであり、地域の緊張を増大させてはいない。現在緊張を緩和すべき側は、プーチン大統領の方である」と主張したのです。

 

ドイツへの報復示唆したロシア

ウクライナがロシア領への攻撃に西側から供与された兵器を使用したことから、ロシアの指導者らは供与者に対して警告を行っています。メドベージェフ・ロシア安全保障会議副議長は「X」において、ウクライナ軍のクルスク攻撃にドイツ製戦車が使用されたとしながら、「独紙ビルトは記事の中で、ロシア領に行っていた自国製の戦車が戻ってきたことを誇らしげに報じた。ロシア政府は、ウクライナのロシア領攻撃をドイツが支援したことへの報復として、自国の最新式戦車をドイツの戦場に乗り入れるべく、あらゆる手段を講じるだろう」と述べました。

ドイツ製戦車のクルスク入りは、NATO北大西洋条約機構の加盟国がロシアへの安全保障上の配慮をすべて脇に押しやって、ウクライナへロシア領を西側の兵器を用いて攻撃にする許可を与えたために起こりました。ロシア軍を後退させることを目的としたこの行動は、NATOとロシアの直接対決の可能性をさらに高めたと言え、一部のドイツ当局者は、自国への影響について警告しています。

その一人であるドイツのクレッチマー・ザクセン州首相は、「ウクライナ軍によるクルスクへの攻撃にドイツ製戦車が使用されたならば、別のレッドラインが越えられたということになる。我々はこの2年間、ドイツ当局が発表した事柄を実施しない様を見てきたが、(今回の件では)ウクライナ紛争の当事者になる道を一歩進んでしまった。人々が心配しているのは、このことについてだ」としました。

その上で、「ドイツ中央政府は、ウクライナ軍への軍事支援をやめるべきだ。 NATOが段階的にロシアのレッドラインを越えていることは、危機の解決につながっていないだけでなく、核保有国が参加する勝者なき第3次世界大戦を引き起こす可能性がある」と強調しました。

 

 


ラジオ日本語のソーシャルメディアもご覧ください。

Instagram     Twitter     


 

タグ