米の覇権は終焉? 「イランはトランプ新帝国主義に対抗する準備を整えるべき」
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ロシアの著名な政治思想家アレクサンドル・ドゥーギン氏が、イラン国営放送傘下のロシア語チャンネルとのインタビューで、世界の地政学的動向、トランプ米大統領の権力復帰、新たな国際秩序におけるイランとロシアの立場、そし​​てアメリカの外交政策における抜本的な変化について語りました。
(last modified 2025-08-16T09:55:59+00:00 )
2月 06, 2025 16:05 Asia/Tokyo
  • ロシアの著名な政治思想家アレクサンドル・ドゥーギン氏
    ロシアの著名な政治思想家アレクサンドル・ドゥーギン氏

ロシアの著名な政治思想家アレクサンドル・ドゥーギン氏が、イラン国営放送傘下のロシア語チャンネルとのインタビューで、世界の地政学的動向、トランプ米大統領の権力復帰、新たな国際秩序におけるイランとロシアの立場、そし​​てアメリカの外交政策における抜本的な変化について語りました。

【ParsToday国際】ドゥーギン氏は「世界は一極体制から多極体制へと移行しつつあり、イランやロシアなどの勢力はこの歴史的な局面に備える必要がある」と語りました。

ドゥーギン氏はこのインタビューにおいて、アメリカの戦略の根本的な変化を分析するとともに、米が自由主義イデオロギーとグローバリズムに基づいて覇権を築いた時代は終わったとの見方を示しました。文化的影響力の行使や独立諸国の国家主権の弱体化、カラー革命の計画といった手段に基づいていたこのモデルは今や、アメリカが世界のリーダーとしてではなく独立した一帝国として自国の利益を確保しようとする一種の帝国主義的ナショナリズムに取って代わられています。

ドゥーギン氏はまた、トランプ米大統領が米国の利益を優先し、グローバル政策を放棄することで国際秩序を再定義しようとしていると指摘しました。この変化は、伝統的な同盟への依存を減らし、戦略的な地域におけるアメリカの直接的な力の誇示に重点を置くことを意味します。こうした中で、ロシアとイランは西側諸国の覇権という旧式モデルの弊害を受けてきた2つの独立国家として、この変化がもたらす新たな機会から利益を得られるようになっています。

また、トランプ大統領の対イラン政策については、「トランプ氏は反イラン政策を継続するであろうものの、そのアプローチはバイデン前大統領とは違ったものになる」と予想しました。同氏によると、「段階的な侵食」戦略を踏襲していた前民主党政権とは異なり、共和党のトランプ氏は直接的かつ迅速な圧力行使を目指すだろうとみられています。

米国とイスラエルの関係については、「トランプ大統領はイスラエルを外交政策の最優先にする」との見方を示しました。これは、抵抗の枢軸とイランに対するアメリカの圧力が強まることを意味します。しかし、注目すべきは、トランプ氏を支持する右派勢力の中にも、無条件での対イスラエル支援について批判的な声が聞かれることです。

これについてドゥーギン氏は、ガザ戦争を契機にイスラエルについての国際的イメージがこれまで以上に変わったと強調しています。イスラエルは過去数十年にわたり自らを被害者側としてうまく演出してきたものの、ガザへの残虐な攻撃と民間人の殺害はこうした宣伝に疑問を投げかけ、イスラエルに関する反対世論を惹起しました。

ドゥーギン氏は、イスラエルに対する世界の認識のこうした変化が、近年のイスラエルの最大の戦略的失敗の一つであり、これまでのアメリカからの支援を新たな問題に直面させていると考えています。

一方で、イランとロシアの戦略的同盟の重要性については、最近の最も重要な地政学的動向の1つとしてこの両国間の戦略的合意の成立を挙げるとともに、この合意が軍事・経済の分野でより広範な両国の協力への道を開く可能性があるとみています。同氏は、イランをロシアの核の傘の下に置くべきこと、またその代わりにロシアがペルシャ湾や南アジアを含む地域におけるイランの地政学的能力を活用すべきことを提案しています。加えて、この同盟を戦略的必須事項としてだけでなく、西側の圧力に抵抗する文明上の一大変革になりうるとも見ています。

そして、イランとロシアがこの歴史的な機会を逃すことなく同盟を強化すべきだと強調しています。そして、この協力が1つの外交協定を超えたものであるとみなし、新たな国際秩序即ち、西側諸国がもはや唯一の支配的主体ではなくなる体制を構築するための基盤になるとの見解を示しています。

ドゥーギン氏はこのインタビューで、国際秩序の将来について明確な青写真を提示しました。それによれば、アメリカが世界を完全に支配する時代は終焉しており、中国、ロシア、イラン、インドなどの国々が国際政治でより大きな役割を果たすようになるだろうということです。この変革は地政学的な変化であるだけでなく、伝統的価値観の復活、世界的な自由主義への対抗、独立した複数極の形成を含むであろう文明的な変革でもあります。

 


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