ミュンヘン安保会議、欧州と米の亀裂あらわに
(last modified Tue, 18 Feb 2025 07:41:45 GMT )
2月 18, 2025 16:41 Asia/Tokyo
  • ミュンヘン安保会議、欧州と米の亀裂あらわに
    ミュンヘン安保会議、欧州と米の亀裂あらわに

米国とその同盟国の間で問題を引き起こしている2つの主要な問題として、ウクライナ停戦をめぐる米露首脳会談および輸入品に対する関税賦課が挙げられます。

【ParsToday国際】ウクライナのゼレンスキー大統領はドイツ・ミュンヘンで開催された安全保障会議の傍らで、ウクライナがサウジアラビアで予定されている米露高官による会談に招待されていないことを明らかにしました。

ゼレンスキー大統領はヨーロッパに独立した軍隊を創設するよう暗に促すとともに、トランプ米大統領に対し「ウクライナの参加なしでの合意は一切受け入れない」と反発しました。

ゼレンスキー大統領はミュンヘン安全保障会議において、「アメリカは我々をNATO加盟国として見たことは一度もなく、ただそれについて話しているに過ぎない。米国は我々のNATO正式加盟を望んでいなかった」と語っています。

 

ヨーロッパ諸国はどのような立場を取ったか?

これに先立ち、ドイツのピストリウス国防相はゼレンスキー氏の姿勢を暗に支持するとともに、「EUがウクライナ和平交渉から排除されれば、欧州と米国の関係は変化するだろう」と述べました。

米ブルームバーグによりますと、米国とロシアの高官らは来週サウジアラビアで会談し、今月下旬に予定されているウクライナ戦争終結に関する両国首脳会談の円滑化をはかることになっています。

 

NATOの立場は?

この点に関して、マルク・ルッテNATO事務総長はミュンヘン安保会議で米国を支持する立場をとり、「欧州諸国は和平交渉にウクライナが参加していないことに不満を漏らすのではなく、この問題に関する具体的な計画を提示すべきだ」としました。

 

相反する米英の立場

ヘグセス米国防長官はNATO国防相会議で「欧州とウクライナはもはや米国にとって優先事項ではない」と公言しました。同長官はウクライナのNATO加盟を否定するとともに、同国が2014年の国境に戻ることも不可能だと述べています。

しかし、英国のスターマー首相は米国とは異なる立場を示し、「我が国はウクライナの安全保障を支援すべくウクライナに軍隊を派遣する用意がある」と表明しました。

 

関税戦争の始まり

一方、アメリカ政府が輸入品に対する関税を導入したことは同盟国からの反発を引き起こしています。

今回の安保会議において、開催国ドイツのショルツ首相は「我々は非常に強力であり、欧州経済に損害を与えるあらゆる要素に対処できる」と語りました。

トランプ大統領は、来月12日から米国に輸入される鉄鋼とアルミニウムに25%の関税を課すと述べており、また4月には自動車への新たな関税を発表する見込みです。トランプ氏は今月13日、多数の貿易相手国に相互関税を課す計画を作成するよう政権に指示を出しており、これは同大統領がこれまでに実施した関税措置で最大規模のものです。

 

奇妙な幕切れ

今回の会議を主催するクリストフ・ホイスゲン議長は、「(今月14日の)ヴァンス米副大統領の演説以降、我々の倫理観はもはや米国のそれと同じではなくなったかもしれない」と悲しみをあらわにしました。

ヴァンス米副大統領は14日、欧州各国の首脳に対し、彼らの最大の安全保障上の脅威はロシアや中国による軍事侵攻ではなく、極右政党の政権入りを阻む工作をはじめとした欧州各国での言論の自由の弾圧だと述べています。

 

 


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