米、見過ごせなくなったイスラエルの犯罪
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米国務省は最近発表した年次人権報告書で、イスラエルによるパレスチナ人に対する暴力や弾圧の事実を認めました。
(last modified 2025-08-13T10:23:39+00:00 )
8月 13, 2025 18:57 Asia/Tokyo
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    米、見過ごせなくなったイスラエルの犯罪

米国務省は最近発表した年次人権報告書で、イスラエルによるパレスチナ人に対する暴力や弾圧の事実を認めました。

【ParsToday国際】この報告書には、「イスラエルによるパレスチナ人への暴力が、ヨルダン川西岸地区で2005年以来最悪のレベルに達している」と記されています。また、「イスラエルにより多くのパレスチナ人が行方不明になっているとする報告が上がっており、その多くがヨルダン川西岸への襲撃時に行方不明となり、その後イスラエルに移送されている」と指摘されています。

アルジャジーラなどの一部メディアは今回の米国務省の報告について、米政府のイスラエルに対する姿勢の変化の兆候と見なしています。一方、イスラエルメディアの反応は分かれており、一部は無視する一方で、他は米・イスラエルの戦略的関係への懸念材料と受け止めています。また、ハマスやイスラム聖戦などのパレスチナ抵抗組織は、今回の報告書を自らの闘争の正当性を証明するものとしています。

国連のファルハン・ハク副報道官も、国連人道問題調整事務所(OCHA)の発表として、ヨルダン川西岸においてイスラエル軍と入植者によるパレスチナ人への暴力が依然続いているとしました。ハク報道官は記者団に対し、OCHAが確認したイスラエル入植者によるパレスチナ人への暴力事件は、先週だけで少なくとも24件発生しており、死傷者や物的被害が出たことを明かしました。

今回、米国務省がイスラエルによるパレスチナ人への弾圧や暴力を認めた理由はいくつかあります。

第一に、ヨルダン川西岸での暴力の増加です。報告書によると、ヨルダン川西岸におけるパレスチナ人への暴力が2005年以来最悪の水準に達していると記されています。

第二に、パレスチナ人の行方不明や逮捕に関する具体的な証拠です。イスラエル軍の襲撃がある際に多くのパレスチナ人が行方不明となり、その後イスラエルへ移送されたという報告がなされています。

第三に、国際機関からの圧力です。国連や人権団体は、入植者やイスラエル軍による暴力に繰り返し警鐘を鳴らしてきました。国連事務総長はイスラエルの刑務所内でパレスチナ人に対する性的暴力が行われている可能性についても懸念を表明しています。

第四に、世界的な世論の高まりがあります。独立系メディアやソーシャルメディアの普及により、世界の世論はパレスチナ人の状況に対して敏感になり、各国政府も対応を迫られています。この認識は遅ればせながらも、人権侵害に対する国際的な責任追及の圧力が高まっていることを示しています。

今回の国務省報告書がもたらす影響は、いくつかの側面から考えることができます。米国内では、この報告を受けて、一部の議会議員や人権団体がイスラエルへの軍事・外交支援の見直しを求める声を上げています。また、最近の声明では、特に入植活動や民間人への攻撃に関して、国務省のトーンがより慎重かつ批判的になっています。

地域および国際レベルでも、今回の報告発表後にパレスチナ支持の動きが強まっています。国連はこの報告を引用し、イスラエル刑務所内での性的暴力について懸念を表明し、防止措置を求めました。国連人権理事会は、今回の国務省報告を根拠に、行方不明者や恣意的な逮捕、刑務所内の性的暴力の調査のための真相究明委員会の設置を要求しています。イラン、トルコ、カタールなど地域諸国はこの報告をイスラエルによる人権侵害の証拠だとしています。

また、一部の政府や国際機関は、イスラエルのパレスチナ人に対する暴力について独立した調査を求めています。国際機関はハマスとイスラエルの間の停戦合意を支持し、イスラエルによる違反を非難してきました。今回の報告発表後、一部の欧州諸国はヨルダン川西岸やガザでの暴力について独立調査を求めています。EUは声明の中で民間人の権利尊重の必要性を強調し、入植活動や入植者による暴力の停止を要求しました。また、欧州議会の一部左派政党は、特に武器輸出などのイスラエルとの軍事・安全保障協力の見直しを求めています。これらの動きは、伝統的なイスラエルの同盟国である欧州諸国でも、人権に関する世論と証拠の前に沈黙できないことを示しています。

これだけではなく、西側諸国の世論がパレスチナ人の状況により敏感になりました。欧米の市民らは、今回の報告を受けて自国政府に対し、イスラエルへの無条件支援の停止を求める圧力をかけています。ソーシャルメディアでも、被害者への連帯の波が起こり、「#FreePalestine」などのハッシュタグが再びトレンドになっています。

今回の米国務省の年次報告でパレスチナ人への弾圧や暴力が認められたことは透明性の面では前向きに評価されていますが、一方で地域の一部関係者は米国を中立のパートナーとは見なさず、仲介役としての役割に疑問を投げかけています。

国際機関や人権団体は米国に対し、報告作成にとどまらず、軍事支援の停止や独立調査の支援など具体的な行動を求めています。米国は西アジアでの地位を維持するために、よりバランスの取れた立場を取る必要があり、必要であればイスラエルに停戦合意の遵守を求めることも必要となっています。

総じて、この認識は地域の外交環境を変えるだけでなく、米国に伝統的なイスラエル支援と国際的な人権擁護の主張の間でバランスを取ることを求める立場を強いています。とはいえ、トランプ政権の第1期および第2期における政策は、イスラエルへの無条件かつ全面的な支援がワシントンの西アジア政策の柱であることを示しています。

 


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