ガザでの大量殺戮を宗教的に正当化;米グラハム上院議員が語るのはどの神?
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リンゼー・グラハム米共和党上院議員はが語るのはどの神?
好戦主義派のリンゼー・グラハム米国共和党上院議員は、シオニスト政権イスラエルに対する米国の援助の一切の削減にも反対しており、もし削減されれば米国は神の罰を受ける恐れがある、と主張しています。
ドナルド・トランプ大統領の側近でもあるグラハム上院議員は、米サウスカロライナ州で行われた主要な政党の年次資金調達イベント「第58回シルバー・エレファント・ガラ」での演説で、米国の対イスラエル財政援助の削減を強く批判し、「このような行動は米国にとって『神の罰』につながる可能性がある」と警告しました。
こうした発言は、イスラエルの断固たる支持者としてのグラハム議員の政治的立場を反映しているとともに、イスラエルを宗教・政治的信念の中心に据えているアメリカの福音主義者(キリスト教伝道者)らの深い神学、文化的ルーツも明らかにした形となっています。
グラハム議員はまたこの演説の中で、グラハム氏はイスラエルを「中東(西アジア)で最も信頼できるアメリカの友人」であり、破壊を企む敵に直面しているいわゆる「包囲された民主主義国家」だと表現しました。また、パレスチナ・ガザ地区で6万1000人以上のパレスチナ人が殺害されたという世界規模での報道を無視して、同地区の完全占領というイスラエルの計画を支持し、それを「パレスチナ・イスラム抵抗運動ハマスとの戦争を終結させる解決策」とだとしています。グラハム議員のこの姿勢は強い非難を浴びているとともに、無条件の対イスラエル支持を政治的かつ宗教的義務とみなすイデオロギーに対する同議員の深い執着を反映していると言えます。
アメリカの福音派、特に保守的なプロテスタントは、米国内での対イスラエル政治的支持を形成に大きな役割を果たしています。共和党の支持基盤の大きな部分を占めるこのグループは、イスラエルを聖書の預言、特に預言者イーサー(イエス・キリスト)の再臨に関する預言の成就の中心とみなす終末論的信仰を信奉しています。この信仰によれば、1948年のイスラエルの創立および、聖地ベイトルモガッダス・エルサレムを含むパレスチナ領土の支配は、「終末の日々」の到来を告げる兆候とされています。
多くの福音派は、イスラエルを支援することを神が定めた義務と見なし、その義務に違反すれば神の怒りを招くと信じています。特に保守派の多いサウスカロライナ州で選挙活動を行うグラハム氏は、これらの有権者層と密接な関係があり、「神の罰」に関する彼の発言は、こうした信仰に直接言及しています。
グラハム議員はこうした「神の罰」に言及することで、神がユダヤ人を「選民」と呼び、「わたしはあなたを祝福する者を祝福し、あなたを呪う者を呪う」(旧約聖書・創世記12:3)と約束した聖書の記述を暗に引用しています。
福音派にとって、この聖句は現代イスラエルへの揺るぎない支持を意味し、シオニストが牛耳る現在のイスラエル政権への財政・軍事的援助の停止は「呪い」とみなされ、神聖なる結果をもたらす可能性があるとされています。キリスト教シオニスト団体に広く浸透しているこの見解は、対イスラエルへの支持を譲れない原則としています。
もっとも、グラハム議員の発言は単なる宗教的立場にとどまらず、深い政治的ルーツをも有しています。著名な上院議員であり、ドナルド・トランプ氏の側近でもある彼は、AIPACアメリカ・イスラエル公共問題委員会といった強力な親イスラエル・ロビー団体から財政・政治的支援を受けています。これらの団体は、選挙資金の調達や西アジアにおける米国の外交政策の形成に大きくかかわっています。
グラハム議員はさらに、ガザ占領計画を支持し、メディアで報じられている残虐行為を無視することで、一部の共和党員に支持されている好戦的な姿勢を強化しようとしています。実際にグラハム議員はこれに先立ち、ガザへの大規模な爆撃と恐るべき規模の大量殺戮を求めたとともに、これを第二次世界大戦中の東京と独ベルリンへの爆撃、そして広島と長崎への原爆投下と比較する発言を提起していますが、これは非人道的で犯罪的なアプローチを示す発言だと言えます。
グラハム議員は「神の罰」について語る時、それは福音主義神学においてイスラエルを選民として支持する神のことを指しています。それは、このグループの目には、この神はイスラエルの行動を支持しており、たとえそれがガザにおける大規模な軍事作戦を含むものであっても、彼らはそれを終末論的な預言を成就するための神の計画の一部と見なしているからです。
しかし、多くの人々の間ではこのような見解はガザにおける人道犯罪や人権侵害を正当化するものだと考えられており、聖書のこうした解釈は広範囲にわたる批判に直面しています。
グラハム議員がイスラエルへの援助削減を「神の罰」と評した発言は、神学的信念と政治的利益に基づく、アメリカの福音派とイスラエルの深い同盟関係に根ざしたものです。グラハム氏は保守派の有権者層と親イスラエル派のロビイストを安心させている一方で、ガザの人道危機を軽視した彼の姿勢は広範な批判を招いています。この姿勢は、福音派の見解とイスラエル政策に対する世界規模での批判との間の深い溝を浮き彫りにしているとともに、アメリカの外交政策における神学の役割を改めてクローズアップしています。
実のところ、これらの好戦的な西側の人々の意識には一体どれほど恐ろしく抑圧的な神が築き上げられているのか、と問わざるを得ません。それは、子供や女性の虐殺を望み、彼らの飢餓を喜ぶ神だといえます。もし西側諸国に少しでも理性があるならば、イスラエルの崇拝者たちから距離を置き、サタン・悪魔の声と意志を慈悲深い神の意志であるかのように叫ぶ彼らを処罰すべきではないかと思われます。