米シカゴ大学教授;「トランプ氏の対イラン戦争介入は愚鈍な行為」/ウクライナが崩壊の危機に
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ジョン・ミアシャイマー米シカゴ大学国際関係学教授
米シカゴ大学で国際関係論の教鞭を執る著名な教授が17日日曜、「アメリカの深刻な危機の兆候としてウクライナにおける西側諸国の戦略的失敗、ドナルド・トランプ米大統領の対イラン戦争への「愚かな」参戦、ガザでの大量虐殺へのアメリカの加担が挙げられる」と強調しました。
今月15日、米アラスカにてトランプ米大統領はロシアのウラジーミル・プーチン大統領と会談しました。この会談は世界中のメディアや政界で瞬時且つ大々的に報道され、この会談は多くの人々の間で力関係の変化の兆候および、世界情勢においてアメリカの役割が試されていることだと捉えられていました。
しかし、会談は思わしい成果を挙げることなく終了したことから、多くの人がウクライナ戦争の新たな戦況とトランプ大統領のアプローチを分析すること ました。
この点について、シカゴ大学の著名な国際関係論教授であり、リアリスト学派の著名な理論家でもあるジョン・ミアシャイマー氏は、プーチン氏のアラスカ訪問の詳細とウクライナ戦争の戦況を分析し、「この戦いはロシアにとって『存亡をかけた』戦争であり、アメリカは誤った決断によって、対イラン戦争を含む犠牲の大きい戦争に巻き込まれている」と強調しました。
また、プーチン大統領が欧米側によるウクライナでの一時停戦要求に反対したことに触れ、「プーチン大統領は最近の会談で、自身の行動と人格をうまくコントロールした。彼がやるべきことはそれだけだった。つまりプーチン氏は会談に出席し、外交的で知的、そしてプロフェッショナルな態度をトランプ大統領に示すだけでよかったのだ」と述べています。
さらに「プーチン大統領が停戦案に明確に反対した後、トランプ大統領は態度を軟化させ、自らも和平を求めている」とし、「ロシアは西側諸国の思惑を十分に理解しており、ウクライナに再装備及び巻き返しの機会を与えて戦争を継続させたくないと考えている。ロシアの見解では、ウクライナのNATO北大西洋条約機構加盟の可能性もまた、存亡の危機となっている」と付け加えました。
そして、ロシアが具体的な条件を提示していることを指摘し、「ロシアの基本条件の一つは、ウクライナの4つの州とクリミア半島に対するロシアの支配を承認することだ。2つ目の条件はウクライナを中立国にすること、3つ目の条件は、ウクライナ軍の攻撃能力を撤廃し、ロシアにとっての脅威とみなされないようにすることだ。しかし、これら3つの条件は西側諸国にとって受け入れがたいものであり、『このため、和平合意に至ることは不可能だ』」との見解を示しています。
加えて、トランプ大統領が過去の立場を撤回していること、そしてゼレンスキー・ウクライナ大統領が米ロの和平合意の要請に暗黙的に反対していることに改めて言及し、「トランプ大統領は、この戦争を終結させられないと分かっているため、ウクライナに決定権を委譲中である。彼はその一方で、対ロシア追加制裁行使という構想も撤回した」と強調しました。
続けて、ロシアがウクライナ東部と南部の4つの州に主権を確立した場合の影響について、「これはウクライナが領土の20%を喪失することを意味し、同国にとっては悲劇となるだろう」と述べています。
ミアシャイマー教授はまた「自分の見解では、ウクライナは破滅の運命にあり、ゼレンスキー大統領はロシアの条件を受け入れざるを得なくなるだろう。ウクライナ国民にとって賢明なのは敗北を受け入れることだ。しかし、ウクライナの4つの州を取り戻したいのはウクライナ国民だけではない。西側諸国も敗北を受け入れようとしておらず、この紛争はより広範な戦争につながる可能性がある」と指摘しました。
さらに、シオニスト政権イスラエルによる対イラン戦争とこの戦争へのアメリカの参戦に言及し、「イスラエルの対イラン戦争では、アメリカの防衛ミサイル備蓄の多くも破壊された。バイデン前米政権下でイスラエルは二度にわたり米・イラン間に戦争を引き起こそうとしたが、彼はこの戦争への参戦を拒否しており、これは賢明な判断だった。しかし、トランプ氏は愚の骨頂に走り対イラン戦争に参戦し、今やアメリカをこの戦争に巻き込んでしまった」と語っています。
ミアシャイマー教授は最後に「アメリカは自らが危機的な状況にある一方で、ジェノサイド(ガザでの出来事)に加担している。ジェノサイドを認めたくない人々でさえ、大規模な虐殺が起こっていることを認めている。だから、トランプ政権の行動は、戦略的にも倫理的にも多くの人々を不安と失望に陥れている」と結びました。