トランプ大統領が捏造した対ベネズエラ攻撃の口実:麻薬戦争か政体の転換か?
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複数の分析によれば、ベネズエラ近辺での大規模な米軍駐留の目的は、マドゥロ・ベネズエラ大統領を排除し、同国の政治体制を転換させることだと見られています。
(last modified 2025-10-13T07:18:04+00:00 )
10月 12, 2025 15:16 Asia/Tokyo
  • トランプ大統領が捏造した対ベネズエラ攻撃の口実:麻薬戦争か政体の転換か?
    トランプ大統領が捏造した対ベネズエラ攻撃の口実:麻薬戦争か政体の転換か?

複数の分析によれば、ベネズエラ近辺での大規模な米軍駐留の目的は、マドゥロ・ベネズエラ大統領を排除し、同国の政治体制を転換させることだと見られています。

英紙フィナンシャル・タイムズは「ベネズエラ近海で見られるアメリカの大規模な軍事行動から、ベネズエラを直接攻撃するのではという憶測が高まっている」と報じました。

【ParsToday国際】駆逐艦3隻、強襲揚陸艦1隻、ミサイル巡洋艦1隻、原子力潜水艦1隻、F-35飛行隊1個、そして6500人の海兵隊員と狙撃兵が配備されていることは、通常の麻薬撲滅作戦の域を超えると考えられるレベルの軍事態勢を示しています。

トランプ米政権はこれらの措置を麻薬密売撲滅のためだと主張していますが、アナリストらはそのような正当化は事実に合致していないとの見方を示しています。実際、ベネズエラはフェンタニル(麻薬の一種)の主要な供給国でもなければ、米国市場向けコカインの主要供給国でもなく、フェンタニルは主にメキシコから輸入されており、米国へのコカインの最大の輸出国はコロンビアです。

しかし、トランプ大統領とピート・ヘグセス米国防長官は、アメリカの麻薬危機の主犯がベネズエラだと主張しています。ここ数週間、米海軍はカリブ海で麻薬を積載が疑われるベネズエラ船籍4隻を撃沈し、20人以上が死亡しました。トランプ大統領は、フェンタニルとコカインの袋が海中に撒き散らされたと主張しつつも、その主張を裏付ける証拠は提示していません。

トランプ氏にとって、ベネズエラは外国からの脅威かつ国内の情勢不安という内憂外患の元凶でもあります。トランプ大統領は、米国における都市部の治安問題の主因がベネズエラにあるとし、「カリフォルニア州ロサンゼルス、首都ワシントンD.C.、テネシー州メンフィス、イリノイ州シカゴ、オレゴン州ポートランドといった地域が情勢不安の温床となり、州兵が配備されている」と考えています。

ちなみに、アメリカでは昨年だけで薬物使用により5万4743人が死亡しました。トランプ氏が主張する年間30万人の死者数を認めたとしても、この数字はベネズエラの現状や麻薬密売の可能性・規模とは一致しません。トランプ氏はこれらの統計を信用する素振りさえも見せず、あくまでもこれらの統計を提起し自らの行動を正当化しているに過ぎないのです。

一方で、トランプ大統領は現時点でベネズエラへの直接攻撃については決断を下していない模様です。マルコ・ルビオ米国務長官をはじめとするトランプ氏の側近の一部がベネズエラの政治体制の転換を望んでいる一方、リチャード・グレネル大統領特使などは交渉を重視しています。しかし、この両者はいずれもベネズエラの豊富な石油埋蔵量に目を付けています。同時に、マドゥロ・ベネズエラ大統領逮捕の懸賞金は5000万ドルに引き上げられました。

トランプ政権には一貫した政策立案メカニズムが欠如しており、その決定は忠誠心をめぐる競い合いによって左右されることが多くなっています。ベネズエラ船舶への攻撃の様子をテレビ放映するといった芝居的な行動は、トランプ氏の権力誇示の一環として行われています。

最終的には、トランプ氏がベネズエラに最大限の圧力をかけたことで、ベネズエラから米国への移民流入が増加しました。トランプ氏はこの現象に対抗していると主張しつつも、実際にはそれを助長しています。このような行動を正当化できるのは、トランプ氏の真の目的が彼の主張以外のものである場合だけなのです。

 

 


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