米政府閉鎖はいつまで続き、米国民はそれにどれだけの代償を払うことになるのか?
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19日目を迎えたアメリカ連邦政府閉鎖
今月1日に始まった米国連邦政府の20日、間近い閉鎖は、同国の重要な活動を麻痺させたとともに、アメリカの経済不況と社会危機の警鐘を鳴らしています。
2025年10月1日に議会で予算案をめぐり合意不成立となったため始まり、それから20日目に突入しようとしている米国連邦政府閉鎖は2019年以来最長の閉鎖となり、米国の経済、社会、そして政治に広範囲にわたる影響を及ぼしました。この政治的行き詰まりの終わりは今なお見えていません。
【ParsToday国際】現在、数百万人ものアメリカ市民がこの危機の広範な影響に苦しんでいます。
この危機は、何百万人ものアメリカ人の生活を混乱させただけでなく、スコット・ベッセント米財務長官によれば米経済に1日あたり150億ドル、これまで合計3000億ドルの損失をもたらしています。また、国防総省、保健福祉省、商務省の職員を含む約75万人の連邦政府職員が無給で一時帰休となり、さらに軍人や法執行機関の職員を含む130万人が無給勤務を余儀なくされています。
ちなみに、2019年に発生した同様の政府閉鎖では、給与の損失は30億ドルに達し、今回は、多数の家族が慈善団体による食事の配給に頼ったり、USAA(アメリカ軍の軍人、軍属およびその家族を対象とした金融業、保険業を専門とする会社)のような機関から60日間の無利子ローンを借り入れています。
トランプ現政権は、この機会を利用して一部の政府機関で恒久的なレイオフを実施しています。これらの措置により、特に保険や燃料などの特定の費用を負担できない職員の経済不安が悪化しています。また、この間、公共サービスも深刻な混乱に陥っており、国立公園が閉鎖されているほか、USTA米旅行業協会は「1日あたり2000万ドルの損失を被っている」と報告しています。
保健医療分野では、食品の品質検査が停止され、食肉、牛乳、卵の供給網における汚染リスクが高まっています。USCIS米国市民権・移民業務局はビザや市民権申請の処理を遅らせており、さらには家庭内暴力の被害者支援プログラムにも支障が出ています。加えて航空交通も管制官不足と保安チェックの長蛇の列に遭遇し、パスポートの発行や住宅ローンの受給も遅延しています。
経済面では、統計報告の不足により、アメリカの農業関係者は市場価格の変動に見舞われ、2万軒の農家が破産の危機に瀕しています。加えて、金融市場も逼迫しており、今月3日に発表が予定されていた月次雇用統計の発表が遅れたことから、FRB米連邦準備制度理事会の金利決定が困難となり、株価変動をまねいた形となりました。
政府契約に依存する中小企業も倒産の危機に瀕しており、供給網も混乱しています。ベッセント財務長官は、特に2025年の経済成長見通しが脆弱であることから、「この傾向が続けば経済が景気後退に近づく可能性がある」と警告しています。
さらに政界では、政府閉鎖によって与党・共和党と野党・民主党の溝が深まり、新予算可決に向けた交渉の中心であったオバマケア(2010年に民主党オバマ政権が行った医療保険制度改革)の補助金やメディケイド・医療扶助事業の削減をめぐる論争が行き詰まっています。
野党・民主党は危機の原因になったとしてトランプ政権の政策を非難し、与党・共和党は議会における民主党の少数派を非難しています。世論調査によれば、政府機関への国民の信頼は過去最低水準にあり、オバマケア受給者2400万人が不安を感じています。こうした損失と懸念が生じている中、議会における妥協の兆しも、米国政府閉鎖の終結の兆しも見られないままです。したがって、この閉鎖が続く限り、米国における経済、社会、政治、さらには安全保障上の損失と懸念はさらに増大すると予想されます。

