米政府はどのようにして数百万人もの国民の飢餓を放置したのか?
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米国で食糧支援プログラムへの支払いが完全に停止された場合、子どもから高齢者まで4200万人以上の米国民がきょう1日土曜から毎日の食糧供給源を失うことが明らかになりました。
(last modified 2025-11-02T08:56:03+00:00 )
11月 01, 2025 18:40 Asia/Tokyo
  • 米政府はどのようにして数百万人もの国民の飢餓を放置したのか?
    米政府はどのようにして数百万人もの国民の飢餓を放置したのか?

米国で食糧支援プログラムへの支払いが完全に停止された場合、子どもから高齢者まで4200万人以上の米国民がきょう1日土曜から毎日の食糧供給源を失うことが明らかになりました。

2025年11月1日は、アメリカ合衆国の社会史における暗黒の汚点となると見られます。USDA米国農務省は、きょう1日をもって、低所得世帯の食糧購入を支援するSNAP補足栄養支援プログラムの支給の全面的な停止を正式に発表しました。これまで1000万人の子供、600万人の高齢者、そして数百万人の障害者を含む4200万人以上のアメリカ国民に毎月食料支援を提供してきたこのプログラムは、90年間の継続的な運営を経て、史上初めて終了することになります。

一人当たり平均月額190ドルの支援金は、月額約80億ドルの費用がかかりるもので、今後は受給者の口座への入金が停止されます。専門家が「大恐慌以来最大の飢餓危機」と呼ぶこの惨事は、31日間にわたる米連邦政府閉鎖の結果であるとともに、トランプ現米政権の予算政策と議会の膠着状態が直接招いた結果でもあります。

米国連邦政府の閉鎖は先月1日に始まり、この状態は2026年度予算案の合意が得られていないために現在も続いています。トランプ大統領が署名したOBBBA「ワン・ビッグ・ビューティフル・ビル法」により、2034年までのSNAP(緊急医療扶助制度)の資金が1870億ドル以上削減されたものの、農務省からの緊急資金はこの11月末まで利用可能でした。しかし、アメリカ農務省は公式声明で「資金が枯渇したため、支払いは不可能」と表明したのです。これは、25州および首都ワシントンDC特別区が連邦政府を相手取って訴訟を起こしている中で無理くり決定されたものです。

きょう土曜日に始まるSNAP補足栄養支援プログラムの打ち切りは、アメリカ社会に即座に壊滅的な影響を及ぼすと見られます。打ち切りの影響は、個人の飢餓にとどまらず、社会、経済、そして健康の危機の連鎖を引き起こすことが予想されます。これらの危機の一つが健康と栄養失調の危機であり、SNAP受給者の40%を占める子どもたちは、発育阻害、学力低下、慢性疾患の増加といったリスクにさらされています。責任ある団体は「数百万人ものアメリカの子どもたちが深刻な飢餓の危機にさらされている」と警告しています。また、貧困層の多い州の病院では、先週から栄養失調の症状を呈する患者の入院が25%増加したと報告されています。

もう一つの問題は、地域社会への経済的影響です。農務省の調査によれば、SNAP給付金1ドルにつき1.5ドルから1.8ドルの経済効果があるとされています。しかし、月額80億ドルの給付金削減により、特に貧しい農村部や都市部の食品小売業者は売上の急激な減少に直面しています。SNAPプログラムに参加している25万店以上の店舗は、経済的損失の回避に向けて必需品の在庫を削減すると発表しました。このことは、地域の食品価格のインフレを悪化させると予想されます。

この危機はフードバンクや社会福祉サービスにも大きな負担をかけており、東部ペンシルベニア州ピッツバーグのフードバンクは「4日分の食料しか残っていない」と発表しています。また、ニューヨークのフードバンクには数マイルにも及ぶ長蛇の列ができ、多くの人々が食料を受け取れずに帰らされています。各州は地方自治体の資金で対応しようとしていますが、これらの対策は不十分で持続不可能です。SNAPの最大の受給者であるカリフォルニア州は「連邦政府からの支援がなければ、今年12月末までに州内の400万人以上が飢餓に直面する」と表明しました。

この危機は政治・社会的にも影響を及ぼしており、野党・民主党はトランプ大統領を「数百万人に飢餓を強いた最初の大統領」として非難しました。一方、与党・共和党は民主党を「予算を人質に取っている」と非難し返しています。ベン・レイ・ルーハン民主党上院議員は、SNAP資金を提供するための別の法案を提出したものの、共和党多数派の抵抗に直面しています。主要都市では民衆による抗議活動が勃発し、ニューヨーク、カリフォルニア州ロサンゼルス、イリノイ州シカゴでは「食料は権利であり、特権ではない」というスローガンが響き渡りました。

SNAPの削減は単なる予算問題ではなく、アメリカ社会の深い分断を象徴するものです。世界で最も裕福な人々が暮らすとされる国で、隣国カナダの人口を上回る4200万人が食料源を失う、という何とも皮肉な現象が起きています。この危機は政府機関に対する国民の信頼を損ない、国家の優先事項について根本的な疑問を提起しています。このような状況下では防衛、富裕層への減税、インフラ整備は、子供の飢餓対策よりも重要なのか、という疑問が沸き起こっています。

いずれにせよ、議会が近日中に予算を可決しなければ、数百万もの世帯が感謝祭とクリスマスを食料なしで過ごす破目になると見られます。これは人道的災害であるだけでなく、アメリカ合衆国という国家に永久的な傷を残すことになると感考えられるのです。

 

 


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