窮地に填まったウクライナ大統領;戦況の行方と自国の政治は先行き不透明
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ウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー大統領
アメリカがウクライナ・ロシア間の仲介に熱を挙げていることから、ゼレンスキー・ウクライナ大統領が苦境に立たされています。この場の彼の決断は、現在の戦況の行方とウクライナの政治的将来を大きく決定づける可能性があります。
米紙ワシントン・ポストは、「ゼレンスキー大統領がロシアとの和平合意に向けて譲歩する可能性がある」と報じました。件の協議に近い米国当局者の話では、ゼレンスキー大統領は戦争終結と引き換えに、ウクライナ東部ドネツクにおける自らの支配地域の一部を放棄する可能性があると言われています。この動きは同国内の反対を押し切る形で、トランプ米政権が提起した28項目からなる和平計画の一環として検討されています。
【ParsToday国際】イラン学生イスナー通信によりますと、協議に近い当局者らは米国の提案を「融通が利くものの痛みを伴う」ものだとし、ウクライナの軍事力と安全保障の確約に制限を設けています。一部の選択肢としては、軍事力上限の引き上げまたは撤廃、トマホークミサイルの提供、合意署名後の総選挙実施などが含まれ、その目的は、西側諸国からの支援を縮小せずに、ロシアに対する抑止力の構築および安全保障上の均衡を確立することとされています。
米国当局は「旧ユーゴスラビアの経験と同様に、ウクライナ崩壊は欧州の安定を脅かしかねない」と警告しています。しかし、この計画に批判的な人々は「トランプ大統領の計画はロシアへの譲歩となり、ウクライナの主権を損なう可能性がある」と警告しています。
このような状況下で、ゼレンスキー大統領は苦渋の選択を迫られています。それは、国内からの圧力と広範な国民の不満に耐えつつ合意を受諾するか、もしくは合意を拒否し、今後何年も続く可能性のある戦争を継続するかのいずれかです。アナリストらは、この決定の結果がウクライナの将来だけでなく、仲介役としての米国と欧州の役割および地域の安定をも決定づけると見ています。

