パレスチナ人評論家がヒズボッラー司令官暗殺を分析:「近く痛烈な反応が迫っている」
-
アラブ圏の著名なパレスチナ人評論家、アブドルバーリ・アトワン氏
アラブ圏のアナリストが、シオニスト政権イスラエルの手によるレバノンのイスラム抵抗組織ヒズボッラーの著名な司令官の殉教に言及し、イスラエルのこのテロ行為に対し近く不可避の痛烈な反応が迫っていることについて語りました。
パレスチナ人でもあるアナリストのアブドゥルバーリ・アトワン氏は、英国拠点のアラビア語ニュースサイト「ライ・アルヨウム」に掲載された25日火曜付けの分析記事において「ネタニヤフ・イスラエル首相の命令により、米国の大統領及び情報機関と連携し、レバノン首都ベイルート上空を昼夜飛行するイスラエル機がヒズボッラーの最高司令官ハイサム・アリ・アル・タバタバイ氏を狙ったことは、我々にとって驚くに値しないものだった」と述べています。
また「イスラエルによるこれらの挑発的でかつこれ見よがしの攻撃は、軍態勢の改善および、近く勃発必至の大規模な戦闘に向けてヒズボッラーの若手軍司令官らが国内情勢の調整に成功していることを、イスラエル側が恐れている現実を反映している」とコメントしました。
「ライ・アルヨウム」編集長でもあるアトワン氏はさらに「ヒズボッラーの軍司令部は完全な沈黙と狡猾さの中で活動し、イスラエルの攻撃に反撃すべき時期と場所を決定する」と語っています。
続けて「ネタニヤフ首相は、陸海空からの大規模な対レバノン攻撃を正当化し、ヒズボッラーに責任転嫁し、この抵抗組織が戦闘態勢を最高潮に引き上げる前に攻撃を仕掛けるべく、ヒズボッラーを挑発して即時反撃を起こそうとしている。だが、ヒズボッラーが戦闘態勢を最高レベルに引き上げ、大規模な反撃の適切な時期が到来するまで、この動きは奏功しないだろう」と述べました。
加えて「タバタバイ氏の暗殺および、わずか1年で停戦協定違反が7000件を超えるというイスラエル側の相次ぐ攻撃は、米国とイスラエルの圧力を受けたレバノン政府やその他の組織による武装解除への反対という、ヒズボッラーとその指導者らの立場の正当性と合理性、そして、アメリカ特使のご機嫌取りと彼らの命令の実施に全神経を集中している政府による武器の独占という見解が誤りであることを証明している」としています。
アトワン氏はここで、「ヒズボッラーが軍事的に終わっているなら、イスラエルの攻撃が激化する理由はどこにあるのか?」との疑問を投げかけました。
そして「イスラエルによるヒズボッラーへの攻撃とテロ暗殺は、昨年11月のレバノン攻撃の失敗および、この抵抗組織がかつてないほど強力になったことを裏付けるものだ。イスラエルはヒズボッラーの事務局長と上級司令官を暗殺した上、ポケベル爆破という犯罪を起こして約4000人の殉教者と負傷者を出したが、ヒズボッラーの抵抗はそれでも崩壊しなかった。今回のタバタバイ氏の暗殺によってヒズボッラーが崩壊することはない。この抵抗組織は司令官育成組織であり、殉教する司令官がいれば、別の司令官が旗を継ぎ、神の道における聖なる戦いへの道を歩み続ける」と語っています。
アトワン氏はこのほかにも「このテロ暗殺に対するヒズボッラーからの確実な反撃はひたひたと迫っており、それは痛烈なものとなるだろう。我々はイスラエル占領政権内、そしてそれに同調するアラブ諸国やイスラム諸国の多くが忘れている事実を強調しなければならない。それは、レバノンでイスラエルを二度も打ち負かし、その軍を屈辱的な撤退に追い込んだ唯一の勢力はレバノン抵抗勢力だということである。そして2度あることは3度あると言われる通り、3回目も繰り返されるだろう」と結んでいます。
現地時間の今月23日夕方、イスラエル政権はレバノン首都ベイルート南部のアル・ダヒヤ地区内の集合住宅を攻撃し、その結果、その周辺を含む広範囲な地域が破壊され、ヒズボッラーの軍トップであるハイサム・アリ・アル・タバタバイ氏が殉教しました。

