アメリカによる高高度ミサイルの配備を擁護する韓国大統領
韓国のパク・クネ大統領が、同国にアメリカの高高度防衛ミサイルを配備するという、韓国とアメリカの決定を正当なものとして擁護しました。
アスギャリー解説員
パク・クネ大統領は、韓国の国家安全保障会議で、韓国でのアメリカの高高度防衛ミサイル配備をめぐり、アメリカと韓国が合意したことに触れ、「この決定への反対派や批判に屈することはない」と語りました。また、「この決定は、北朝鮮のミサイルという脅威から韓国を防衛するために下されており、この計画の実施への反対は建設的ではない」と述べています。
パク・クネ大統領は先週も、韓国の上層部責任者との特別会議において、このミサイル配備計画の反対派に対し、反対や批判をやめるよう求めていました。さらに、「このミサイル防衛システムの使用は、北朝鮮の脅威から国家を防衛するための最高の方法であることから、今回の決定以上のものはない」と主張しています。一方で、「もっとも、この問題については、国内の一部の活動家や国民による圧力も存在している。だが、彼らは反対をやめて政府に同調すべきだ」と語りました。また、この数日間で、このようなミサイル防衛システムが韓国に配備されてはならないとした多数のメッセージを受け取っていることに触れた上で、「こうした批判にたじろぐことは、国家の安定を危機に陥れることになるだろう」と述べています。
韓国では、10日ほど前に数千人の人々がアメリカによる今回のミサイル防衛システムの配備への反対を表明しました。また、韓国の人々のうちおよそ4万人が、この防衛システム配備に選定されている同国南部ソンジュ郡に集結し、今回の決定に反対するスローガンを唱え、これを非難しています。同時に、ソンジュ郡の地元評議会のメンバーは、韓国政府のこの決定に抗議し、座り込みを行いました。韓国軍も、ソンジュ郡が選定された理由は、アメリカの地対空ミサイルシステムがこれ以前にこの地に配備されているからだとしています。
これ以前にも、この計画をめぐるアメリカと韓国の合意成立が発表された後、韓国では首都ソウルを始めとする一部の都市で、人々や反戦活動団体が抗議集会や行進を行いました。彼らは、このような防衛システムが核兵器の廃絶を目的としていない上に、朝鮮半島の緊張を高めることになる、と強調しています。
韓国とアメリカは、国内の抗議運動や中国、ロシア、北朝鮮の強い反対にもかかわらず、このミサイル防衛システムの配備が、北朝鮮軍の弾道ミサイルや核兵器による脅威を制御するための防衛手段に過ぎない、と主張しています。この点から、中国政府は、同国駐在のアメリカ大使と韓国大使を呼び出し、この問題に対する強い抗議の意を伝えました。一方、パク・クネ大統領は、中国とロシアの懸念は杞憂に過ぎないとしており、これらの国が今回の韓国の決定を懸念する正当な理由はないと表明しています。