ウラン濃縮に関するアメリカの政策は「二枚舌」
-
アメリカ合衆国エネルギー省のクリス・ライト長官
クリス・ライト米エネルギー長官が、「米国はウラン濃縮を再開する」と発表しました。
クリス・ライト長官は、米国が国内のウラン濃縮プログラムを再開する、と発表しています。ライト長官のこの表明は17日火曜、フランス首都パリで開催された会議中になされたものです。
ライト長官は、米国とその欧州同盟国が外国の核燃料供給国、特にロシアへの依存を減らそうとする中、「このプログラムはフランスのパートナーと一部共同で開発される予定である」と語りました。
先月、世界最大級の原子力燃料サイクル企業とされるフランスの核燃料大手オラノは、核燃料サイクルにおける国内の能力強化というアメリカの広範な取り組みの一環として、同国テネシー州のウラン濃縮施設の建設を支援するため、米国エネルギー省から9億ドルの資金を確保することに成功しました。
米国内でのウラン濃縮の発表により、米国の外交政策における明白な矛盾が浮き彫りになっています。アメリカは、イランに対し無条件でのウラン濃縮の完全停止を要求している一方で、貿易上および戦略的な目的での濃縮プログラムを再開しているのです。この二重のアプローチにより、アメリカの立場、並びに米国の核不拡散政策の政治的・法的基盤に対し重大な疑問が提起されています。
実際、米国がイランに対しウラン濃縮活動の完全停止をさらに強く迫っている最中に、アメリカのエネルギー長官が自国のウラン濃縮再開を発表したことは、国際舞台における二枚舌政策(ペルシャ語のことわざで「1つの屋根に2つの気候」)の明確な例に他なりません。このアプローチは、米国の核不拡散への約束順守の信頼性に疑問を投げかけるのみならず、イランとの核交渉にも深刻な課題を突きつけています。
イランの核開発計画に対するアメリカの公式見解は、JCPOA(包括的共同行動計画、通称;対イラン核合意)の枠を超えています。JCPOAはイランに対し3.67%までのウラン濃縮を容認していたものの、現米政権は「濃縮ゼロ」などとしてイラン国内におけるこれらの活動の完全停止を要求しているのです。米国当局者は、2026年2月に行われたオマーンの仲介による協議においてこれを主要条件とし、イランの高濃縮ウラン(60%)を第3国への移送さえ提案しました。アメリカは、核拡散への懸念とイランの核能力獲得を阻止する必要性を挙げ、この立場を正当化しています。
アメリカ政府はこの要求とは明らかに矛盾する形で、自国内ではウラン濃縮活動の拡大・再開政策を採用しました。この行動の目的は、原子力発電所への燃料供給と、ロシアなどからの輸入への依存度の低減にあるとされています。この決定は、米国がウラン濃縮を自国の国益確保のために正当かつ必要な活動とみなしている一方で、NPT核拡散防止条約締約国であるイランには同様の権利を認めていないことを示しています。この二重政策こそは「濃縮は自分のためにはOK、相手には禁止」という米国のアプローチにおける矛盾の核心に他なりません。一方、イランは濃縮レベルに関して柔軟な対応はできるものの、ウラン濃縮継続の権利は決して放棄しないと主張しています。イランは、このアプローチをアメリカの偽善と自身のなさの明白な表れと見なしています。イラン当局は、NPTの下での平和目的による核濃縮の権利が、イランを含むすべての加盟国にとって「奪われざる」権利であると強調しています。イランのセイイェド・アッバース・アラーグチー外相は、スイス・ジュネーブの国連欧州本部で17日火曜に行われた軍縮会議において、「イランの核エネルギー使用権に交渉の余地はない」と強調しました。アラーグチー外相は今月8日にも、イランとして平和的な核開発計画およびウラン濃縮を決して放棄しないと強調するとともに、協議の成功の条件が「この権利」を認めることにあると強調しています。
ウラン濃縮に関するアメリカのダブルスタンダードな政策は核問題にとどまらず、ミサイル計画や地域政策を含むイランの行動全般の変化を求める米国の「最大限の」アプローチに根ざしているように見受けられます。専門家らは、イラン周辺への大規模な軍配備、特にエイブラハム・リンカーン及びジェラルド・フォード両空母打撃群の配備、そして軍事行動をちらつかせての脅迫といった措置を伴うこれらの最大限の要求は、主に協議の場での優位性の獲得を目的としたものだと見なし、達成は不可能であると考えています。
ここで大きな問題となるのは、アメリカがこれらの要求を駆け引きのためのスタート地点ではなく、最終目標として追求していることです。このアプローチは、イランに譲歩を促すのではなく逆効果となり、イランは「外交と現場」戦略を採用し、交渉と並行して防衛力を強化すると共に、ペルシャ湾やその湾口のホルモズ海峡を含む海域での演習実施を通じて、米国のあらゆる侵略に本格的に立ち向かう決意を示す、という事態を引き起こしています。
これらのことを総括すると、ウラン濃縮に関する米国のいわゆる「1つの屋根に2つの気候」政策は、間接的な核交渉と制裁解除に深刻な支障をきたしていると言えます。アメリカが自国のウラン濃縮の権利を留保しつつ、イランには同様の権利を認めないと考えている限り、恒久的な合意の達成はまずもって不可能です。この矛盾は、加盟国によるウラン濃縮を含む平和的核活動を正式に認める、というNPTの信頼性を毀損するとともに、国際関係における不信感を強めているのです。

