本日のトピック リオデジャネイロオリンピック、開幕を前に
夏季オリンピックが、5日金曜から、ブラジルのリオデジャネイロで開幕します。これまでに、チケットの80%以上が売れたということですが、ブラジルの関係者は様々な問題に頭を悩ませています。
アギーギー解説員
ロシア人選手のドーピング問題、選手村の不備、ジカ熱蔓延の危険、ブラジルでの政治的な緊張の継続、これらは、ブラジル当局の懸念を増大させている問題のほんの一部に過ぎません。
リオデジャネイロオリンピック開幕まであと5日となった31日、ブラジルの各地で数千人がデモを行い、弾劾手続きで職務停止中のルセフ大統領の退陣を求めました。このデモの一方で、一部の都市で、規模は小さいながらも、ルセフ大統領を支持するデモも行われました。
ルセフ大統領は、政府会計粉飾への関与、2014年のワールドカップ開催時の国際サッカー連盟の免税における法律違反など、複数の罪に問われています。2003年から2010年にブラジル大統領を務め、ルセフ氏の大統領就任を支持したルラ氏も、ブラジルの国営石油会社ペトロブラスを巡る贈収賄に関与したとして非難されています。
この他、オリンピックの開催国であるブラジルは、選手や観客の安全確保という問題も抱えています。この1年、リオデジャネイロは犯罪件数で過去最高を記録しました。現在、完全な厳戒態勢が敷かれ、8万5000人の治安部隊が配備されています。ISISとアルカイダは、オリンピックへの攻撃を行うと脅迫しています。先週、ブラジルの警察は、各地で、ISISとのつながりが疑われる12人の市民を逮捕しました。こうした中、31日日曜には、オリンピックの開会式と閉会式の舞台となる、リオデジャネイロのマラカナンスタジアムで、爆発音が生じました。この爆発は、不審物が発見され、その調査のためにロボットが派遣された後に起こりました。
これ以前に、リオデジャネイロの市長は、新たな交通システムや住宅の建設を約束していましたが、一部の地下鉄路線はいまだに完成していません。
こうした中、ブラジルには、100年前から深刻な経済危機がかげを落としています。現在、ブラジルは、外国から50万人が訪れると予想し、オリンピックをテロリストの攻撃から守るため、およそ9億ドルの費用を投じています。
明らかに、これらの政治、経済、治安状況を合わせると、リオデジャネイロのオリンピックが、何の問題もなく無事に開催されるとは考えにくいでしょう。オリンピック開催を前にした世論調査では、ブラジル国民の半数が、自国でのオリンピック開催を支持していないことが分かっています。