西側の思想家が考える預言者ムハンマド(15)
(last modified Wed, 02 Nov 2016 07:55:30 GMT )
11月 02, 2016 16:55 Asia/Tokyo
  • 西側の思想家が考える預言者ムハンマド(15)

イギリスの女流作家、カレン・アームストロングが執筆した、「ムハンマド、世界を変えた預言者の生涯」という本は、9.11アメリカ同時多発テロ事件後、アメリカで年間ベストセラーとなりました。

「ムハンマド、世界を変えた預言者の生涯」は、10章で構成されており、それぞれの章で、作者は預言者の精神性に溢れた一時期を、歴史的な事実に基づいて描き出し、曖昧な点を明らかにしようとしています。作者によれば、世界に公正を確立し、唯一神信仰を広める上での預言者ムハンマドの管理能力は、非常に魅力的かつ効果的なもので、彼の支配は短期間のうちにアラビア半島(のヒジャーズ地方)に広がりました。預言者ムハンマドは、神の助けによって、30年が経過した後も、世界の重要な地域を支配する統治体制を打ち立てることに成功しました。

アームストロングは、この著書の中で、メッカ征服に触れ、イスラム教の主要な教えのひとつとして、平和の希求を挙げ、次のように記しています。

「預言者は何よりも、民族間の争いを阻止しようとしていた。なぜなら、神への服従を意味する“イスラム”という単語は、平和という意味のサラームを語源にしているからだ。預言者ムハンマドは神の道における戦い・ジハードの人物であったが、それ以上に真の平和を求めていた。彼は最も近しい教友を、メッカとの和平の中で人質として差し出し、これにより、流血をみずに連帯が成立した。ムハンマドは、流血の代わりに、話し合いと平和を追い求めていた」

公平な立場の思想家たちは、現代世界はいつの時代にも増して、イスラムの預言者のような人物を必要としているとしています。イスラムの預言者が今日の人類のために教えているのは、見識、洞察力、公正の追求、道徳と尊厳、慈悲、平和と友愛です。預言者は人類にとって、愛情の中心です。アームストロングは、現在のような歴史的に重要な時期に、このような人物の生涯について知る必要性は非常に高いとしています。この目まぐるしく変化する世界において、西側の人々は、預言者ムハンマドの生涯から、重要な問題を学ぶべきなのです。

アームストロングは、著書の中で次のように記しています。

「西側の問題は、長年に渡り、ムハンマドを文明に反する人物として紹介してきたことにある。しかし、実際のムハンマドは、非常に気高い精神を有し、平和と公正を人々にもたらすために全力を尽くした人物であった。我々がもし、ムハンマドを、歴史的な偉人に対するのと同じような視点から見つめれば、彼が人類史の中で、最も影響力のある人物であったこと、必ず彼のことを知るべきである、ということが容易に分かるだろう」