イラン最高指導者、メッカ巡礼期に際しメッセージ「イスラム諸国民はイスラエルによる犯罪阻止を自国政府に求めるべき」
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イラン最高指導者、メッカ巡礼期に際しメッセージ
イラン最高指導者のハーメネイー師は5日、イスラム教徒によるメッカ巡礼「ハッジ」が最高潮に達する中でメッセージを出しました。ハーメネイー師はこの中で、「ハッジはその教訓を活かせば、今日のイスラム世界の問題を解決するものになる」とし、イスラム諸国政府の最重要責務はイスラエルによるガザでの犯罪を阻止し、アメリカに圧力をかけることであり、イスラム諸国民は自国政府にそれを求めるべきだとしました。
【ParsTodayイラン】ハーメネイー師はこの中で、ハッジの旅を通常の生活から神の唯一性を意識した生活への移行の練習として位置付け、唯一神を信じる生き方の主要な柱を挙げました。ハーメネイー師は、ハッジというものが、唯一神信仰にもとづく生き方を巡礼者に知らしめ、そしてそのような生き方に誘うものであり、この招きに耳を傾け、学び、それを実践に移す決意を固めるべきだと説きました。
ハーメネイー師はまた、今日のイスラム世界がハッジの教訓を以前にも増して活用することを必要としているとし、今年のハッジがイスラエルによるガザでの犯罪と同時期に行われていることに触れました。そして、「誰がこの人道的惨劇に立ち向かうべきか? イスラム諸国の政府がこの義務を果たすべき最初の当事者であり、各国民は政府に対してその実行を求める立場にある」と強調しました。
その上で、アメリカがイスラエルによるガザでの犯罪の明白な共犯者であるとし、「イスラム諸国の政府は、シオニスト政権への支援を全て遮断し、ガザでの残虐行為を続けさせないようにしなければならない。さらに、アメリカの地域内の協力者たちも、アメリカ政府に圧力をかけてシオニスト政権への支援を停止させるべきだ」と強調しました。
また、「ガザの人々の驚異的な抵抗が、パレスチナ問題をイスラム世界と全ての自由の戦士たちの最優先の課題にした」と述べ、「社会的な立場にある人々や話者は、民衆を目覚めさせ、パレスチナ問題に関する要求を広めるべきだ。また、幸運なハッジ巡礼者は、シオニストの抑圧者たちとその支援者に対する勝利を神に祈るべきだ」と呼びかけました。
今回、ハーメネイー師が発したメッセージの全文は以下の通りです。
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慈悲深く、慈愛あまねきアッラーの御名において
すべての賛美はアッラーに帰し、世界のすべての主であるアッラーに感謝を捧げる。アッラーの最も優れた創造物である預言者ムハンマドとその清浄な家族、選ばれた仲間たち、そして彼らに従う善良な人々に平安と祝福があるように。
ハッジは信仰者たちの切望であり、熱望する者たちの祝祭であり、幸運な者たちに与えられた精神的な恵みである。そして、それが深い理解とともに行われるなら、イスラム共同体の大きな問題、さらには全人類の痛みを癒すものとなる。
ハッジの旅は、商売や観光、またはその他の目的で行われる通常の旅行とは異なる。普通の旅でも時折、宗教的な礼拝や善行が行われることがあるが、ハッジの旅は「普通の生活から理想的な生活への移行の訓練」なのだ。
理想的な生活とは、唯一神を信じる生活であり、その中には永遠に真理の中心を回ること、険しい山々を越える努力、悪しき悪魔への不断の攻撃、祈りと瞑想を伴う立ち止まり、地に足をつけた貧者や旅人への食物の提供、人間の肌の色、民族、言語、地理に関係なく同等に見ること、そして常に奉仕する準備をし、神に頼り、正義のために戦う旗を掲げることが基本的であり、永続的なものだ。
ハッジの儀式は、この理想的な生活の象徴的な例をすべて集めており、巡礼者をそれに親しませ、またそれに招待する。この招きに耳を傾けるべきだ。目を開き、心を開くことが求められる。この教訓を学び、実践する決意を固めることが重要だ。誰もが自分の力の範囲でこの道を歩み始めることができ、学者や知識人、政治家や社会的地位にある人々は他の人々以上にこの責任を果たさねばならない。
今、イスラム世界はかつてないほどこの教訓を実践することが求められている。今年のハッジは、ガザと西アジアの惨劇と同時に行われる2回目の季節だ。シオニストの犯罪者たちが占領するパレスチナでは、凄惨で無慈悲な暴力が起きており、その惨状は信じられないものである。今や、パレスチナの子どもたちは爆弾や銃弾、ミサイル以上に、渇きと飢えで命を落としている。愛する者を失った家族、若者、父親、母親たちは日々増えていく。この人道的な惨劇に対して、誰が立ち向かうのだろうか?
間違いなく、イスラム諸国の政府がこの義務を最初に果たさねばならず、民衆は政府がそれを実行することを求める役割を持っている。イスラム諸国の政府は、政治的に意見が異なることがあるかもしれないが、ガザの悲劇において意見の一致と協力を欠いてはいけない。イスラム諸国はシオニスト政権へのあらゆる援助の道を閉ざし、ガザでの残虐行為を止めさせるべきだ。
アメリカはシオニスト政権による犯罪の明白な共犯者だ。アメリカの地域内および他のイスラム地域での関係者たちは、コーランの示す「弱者のための防衛」の教えに耳を傾け、アメリカの支配的な政府に対してその不正行為を止めさせるよう圧力をかけるべきだ。
ハッジにおける「バラアト(非難の儀式)」は、この道における一歩となる。ガザの人々の驚くべき抵抗は、パレスチナ問題をイスラム世界とすべての自由な人々の関心の中心にしている。この機会を活かし、この悲劇的な民に手を差し伸べるべきだ。シオニスト政権とその支持者たちがパレスチナの名前を忘れさせようとする努力にもかかわらず、その邪悪な指導者たちと彼らの愚かな政策が、今日ではパレスチナの名前がこれまで以上に輝き、シオニストとその支持者たちに対する憎悪がこれまで以上に強まる状況を作り出した。そして、これはイスラム世界にとって重要なチャンスだ。
社会的な地位にある話者たちは、民衆に対してパレスチナ問題に関する認識を広げ、その要求をさらに強く求めるようにするべきだ。
あなたたち、幸運なハッジ巡礼者たちも、ハッジの儀式で神に祈り、シオニストの圧制者たちとその支持者たちに対する勝利を神に求めることを忘れないでほしい。アッラーの平安と祝福が預言者ムハンマドとその清浄な家族に、また救世主マフディーに降り注ぐように。