世界の軍事費の増大
(last modified Thu, 04 Jan 2018 12:09:10 GMT )
1月 04, 2018 21:09 Asia/Tokyo
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    世界の軍事費の増大

アメリカ国務省が、報告の中で、2005年から2015年の10年間で、世界の軍事費が46%増加していると発表しました。

2005年の世界全体の軍事費は、1兆350億ドルだったのに対して、2015年には、2兆760億ドルに増加しました。また、この期間におけるアメリカの武器輸出も大幅に伸び、世界の武器市場におけるアメリカのシェアは78%から83%以上に達しています。

世界の軍事費の増大

 

実際、世界各国の軍事費は、冷戦の終了からかつてないほど増加しています。政治問題の専門家、アラン・トーヴィー氏によれば、世界の緊張が高まるにつれ、冷戦終了から各国の軍事費も最大額に達しているということです。

世界各国の軍事費の増加は、直接的な形で、社会、教育、衛生、福祉などの予算を圧迫します。アメリカは現在、およそ7000億ドルの軍事費を割り当てており、この分野で世界一位であるとともに、武器輸出においても世界1位で、世界各地での軍拡や、戦火をあおる上で、重要な役割を果たしています。アメリカは現在、NATO北大西洋条約機構の中で、軍事費を大幅に拡張させるため、ヨーロッパの同盟国に圧力を行使しています。

ミレニアム開発目標

 

また、地域の緊張の高まりと、世界各地における戦争勃発の可能性の結果として発生した、軍事費の増加のプロセスは、明らかにミレニアム開発目標に反しています。8つの目標からなるミレニアム開発目標は、2000年に国連でこれに関する合意が締結されました。この8つの目標は、極度の貧困と飢餓の撲滅、初等教育の完全普及の達成、ジェンダーの平等推進と女性の地位向上、乳幼児の死亡率の削減、妊産婦の健康の改善、エイズやマラリアなどの疾病の蔓延の防止、環境の持続可能性の確保、開発のためのグローバルなパートナーシップの推進となっています。

オーストラリア、マレーシア、タイの大学における持続可能な開発センターの所長をつとめる、キャメロン・キース・リチャーズ氏は、いまだにどの国も持続可能な開発を遂げていないとして、「どの政府も、持続可能な経済を達成できないと思われる。現在、国連の持続可能な開発モデルでは不十分だ」と語りました。

実際、ミレニアム開発目標の理想の達成は、それを採択した各国の莫大な費用を必要とします。こうした中、実際に行われているのは、各国、特に発展途上国の政府が、軍事費の増加を続けようとし、当然、これらの多くの国の貧困や好ましくない経済状況に注目し、ミレニアム開発目標に沿った予算を割り当てることなく、武器の購入や軍事拡張の予算を割り当てている、ということなのです。