アメリカにおける選挙制度と大規模な抗議運動の拡大
アメリカで、選挙運動に巨額な費用がかかることに対する抗議運動の開催が2週目に入っています。
ミールターヘル解説員
アメリカ議会前で18日月曜、金銭により人々からの票を買い取ろうとする大企業や資本家の勢力拡大に対する抗議運動が起こりました。
アメリカの警察は、この抗議運動の参加者を襲撃し、ワシントンDCの議会前に集結していた人々のうち、およそ300人を逮捕しました。
警官隊は、今月11日に抗議運動が開始されて以来、議会前で1240人の抗議者を逮捕しています。議会前での抗議者に対する警察の襲撃と同時に、移民関係の問題を審議中の連邦最高裁判所付近のある地区でも、大規模な抗議デモが実施されました。
注目すべきことは、この数日間において、実体を伴わないアメリカの民主主義や資本主義体制に抗議する運動「民主主義の春」の支持者による抗議運動が、アメリカ議会前で続行され、アメリカ人女優ロザリオ・ドーソンをはじめとする一部の抗議者が、連邦議会前での抗議デモにおいてほかの数十名とともに逮捕されたことです。このアメリカ人女優は、アメリカ大統領選挙の民主党候補者の指名を争うサンダース氏を支持しています。なお、哲学者ノーム・チョムスキー氏などをはじめとするアメリカの著名人や活動家の一部も、この運動に対する支持を表明しています。「民主主義の春」と呼ばれるこの運動はこれ以前にも、アメリカ議会に対し選挙運動の費用の内訳の公表に関する補足事項を憲法に追加し、新たな裁判官が選出されないことを理由とした、連邦最高裁判所の欠員を早急に埋めるよう求めると発表しました。
この運動はまた、アメリカの選挙が一部の特別な人々の利益に支配されていると強調しており、アメリカ人の活動家らは連邦議会に圧力を行使してアメリカの一般市民の投票のハードルを高くする法案を廃案に追い込み、また金権政治に拍車をかけることになる最高裁判所の決定を無効にしようとしていると述べています。「民主主義の春」運動は、アメリカの33の州の人々による、フィラデルフィアからワシントンDCまでの200キロほどにわたる大行進により、最近の行動を開始しました。
先週金曜には、12人の抗議者が手錠をはめたまま議会の周辺の建物の内部に立てこもり、警察がこれらの人々を逮捕しました。彼らは一丸となって、金権政治による腐敗の拡大や投票者の弾圧のない民主主義を求めています。さらに、国民が投じたすべての票が考慮され、すべての人々の声に耳を傾けるよう求めていると主張しました。また、アメリカではイスラム教徒や少数民族、女性や低所得者の市民権が侵害されていると強調し、アメリカの政治家や議員に対し、美辞麗句を並べ他国に派兵するのではなく、アメリカでの正義の実現のために努力するよう求めています。
毎年、大企業や資本家は自分の思惑とする候補者の選挙運動に数億ドルもの費用を拠出し、こうした人物を当選させることで彼らに対する自らの影響力を強めようとしています。また、議会や政府において、自分たちに有利となる法案を可決に持ち込み、自らの利益を危険に陥れるような法案の可決を回避しようとしています。今回の抗議運動の主催者の1人は、「我々は様々な団体による連合であり、選挙での資本家や大企業の勢力拡大に対抗している。もし、我々が選挙で力のあるロビイストの勢力拡大を阻止しなければ、もは国民にとって民主主義はおろか、国家さえも残らない」と語りました。
抗議者によれば、アメリカの政治システムや選挙制度は、資本家やロビイストの強い影響下におかれているということです。実際には、もはやこの国では国民が票を持たず、票の行方を決定するのは金銭なのです。