自由貿易に反対する農業関係者:南米メルコスール協定がEUにもたらす社会的課題
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フランスと欧州の農業関係者による抗議が継続
【ParsToday国際】フランスとヨーロッパの農業関係者らによる、EU欧州連合とメルコスール南米南部共同市場圏との貿易協定に対する抗議が続いていることから、EUのマクロ貿易政策と国内生産者の生活および環境要求との間のギャップが改めて浮き彫りになっています。
フランス、スペイン、ベルギー、ギリシャの農業関係者らがEU・メルコスール協定に大々的に抗議している現状は、貿易自由化の影響に対する欧州農業セクターの深い懸念の象徴と捉えることができます。数百台ものトラクターが仏首都パリに集結し、複数の欧州諸国で主要道路が封鎖されたことは、これらの反対運動が単なる労働組合の反応ではなく、「競争の公正性」および「緑の大陸」と称する欧州での食料安全保障の将来が広範に懸念されていることを物語っています。
ParsToday国際によると抗議活動を行う農業関係者らは、生産コストが低く環境基準が緩い南米諸国からの安価な農産物の輸入が、欧州の生産者の競争力を著しく弱めかねないと考えています。彼らの見解では、この協定は農業部門の所得と雇用を脅かすのみならず、EUの厳格な環境・食品安全基準を事実上無効にしているということです。
一方、メルコスール協定の支持派は、これを国際貿易体制・秩序における欧州の経済的地位の強化を狙った戦略的ステップと捉えています。EUがこの協定の正当性を主張する論拠の1つとして、数億人の消費者を抱える共通市場の創設と、米国や中国といった経済圏への依存削減が挙げられます。この観点から、メルコスールとの協定により貿易相手先が多様化され、国際舞台におけるEUの駆け引き能力が高まる可能性があります。
しかし、現場での抗議活動が続いていることから、この合意の成功は経済上の計算のみには限定されず、社会の同意を得て農業関係者を支援する仕組みがなければ、その実施は重大な抵抗に直面すると考えられます。
この協定への調印を前にして、EUは二重の試練に直面している模様です。それは地政学・経済上の利益保護の問題の一方で、欧州のアイデンティティや食糧安全保障の柱の1つと考えられている農業部門の持続可能性および、通商上の公正性を確保することなのです。

