米フロイドさん死亡事件で、元警官に3つの罪状すべてで有罪評決
米ミネソタ州ミネアポリスで白人警官が黒人男性ジョージ・フロイドさんの首を膝で押さえつけて死亡させた事件の裁判で、陪審団が20日、元警官に対し3つの罪状すべてで有罪評決を言い渡しました。
米CNNによりますと、12人の陪審員からなる陪審員団は2日間にわたり10時間以上の評議を行い、日本時間21日午前4時過ぎに終わりました。
ショービン被告は第2級殺人と第3級殺人、第2級過失致死の罪に問われていたものの、すべての罪状で無罪を主張していました。
量刑は8週間後に言い渡される予定です。
最高刑は第2級殺人で禁錮40年、第3級殺人で禁錮25年、第2級過失致死で禁錮10年または罰金2万ドルとなります。
この事件が発生したのは約11カ月前の2020年5月25日で、現場に居合わせた人が撮った動画にはショービン被告がフロイドさんの首と背中を膝で押さえつける様子が映っていました。フロイドさん手錠をはめられ、うつ伏せの状態で道路に横たわっており、「息ができない」と繰り返し訴えた末に静かになりました。押さえつけた時間は9分29秒に及んでいました。
フロイドさんの最期の瞬間は、黒人米国人が長年指摘してきた刑事制度が黒人を非人間的に扱う様子をはっきりと目に見える形で示し、事件を受けて、全米で抗議行動や略奪、暴動が発生しました。
バイデン米大統領は20日、黒人男性のジョージ・フロイドさんが白人警官から暴行を受けて死亡した事件の裁判で元警官に有罪評決が下ったことを受け、人種的な正義の実現に向けた「非常に大きな一歩」になるとの認識を示しました。裁判は世界中から大きな注目を集めていました。
バイデン氏は組織的な人種差別を「我が国の魂の汚点」と呼んだ上で、陪審の評決、他の警官によるショービン被告に対する不利な証言、世界中で高まる組織的な人種差別の現実に対する理解を見て、勇気づけられたと述べました。
ただ、こうした進展があってもフロイドさんは戻ってこないとも語りました。
さらに、今回のような評決は「非常にまれ」で「たくさんあるわけではない」とも言及し、「様々な要素が異様なほど集まったように見える。スマートフォンのカメラで撮影した勇気ある若い女性、心を痛めた群衆がいた」と述べました。
また、「黒人男性は特に、我々の歴史を通じて人間以下に扱われてきた。彼らの命はわが国で尊重されなければいけない」とも訴え、警察の暴力に警告を発する活動家の話に耳を傾けるよう呼びかけ、「息ができないと言ったフロイドさんの最期の言葉を、彼とともに死なせてはならない」としました。
アメリカでは毎年、1300人近くが警官により殺害されていると推計されます。しかしそのうち99%のケースで、加害者である警官は何の罪にも問われません。
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