アメリカでの経済格差の拡大への懸念
(last modified Mon, 16 May 2016 10:42:02 GMT )
May 16, 2016 19:42 Asia/Tokyo
  • アメリカでの経済格差の拡大への懸念

アメリカのオバマ大統領が、この数十年、アメリカでの経済格差が拡大していることを明らかにしました。

アボルファトフ解説員

オバマ大統領は、ニュージャージー州ラトガース大学の卒業式でスピーチを行い、「アメリカの経済格差は、この数十年、常に拡大してきた」と語りました。さらに、「アメリカの人口の10%は、残りの人々よりも多くの富を有しており、数百万の労働者世帯の賃金は十分に増えていない」と強調しました。また、このような状況に対処するため、最低限の賃金の増加、インフラの整備、学費の削減を求めました。

社会における富の公正な分配をはかる指標によれば、アメリカはOECD経済協力開発機構の先進国の中で最悪の状況にあります。アメリカは、この指標によれば、富の分配の世界ランキングにおいて中間に位置しています。アメリカの経済と政府の福祉計画は、この数十年、先進国の多く、あるいは開発途上国と比較した際、アメリカ市民に公正な社会をもたらすことはできていません。

世界の資本主義の最たるモデルである、アメリカにおける利益追求と富裕層に有利な法の制定により、アメリカでは経済格差が日々拡大しています。そのためアメリカでは、富裕層が人口の42%に相当する富を有しています。マイクロソフトの創業者ビルゲイツ氏が、800億ドルを超える資産を有している一方で、数百万人の労働者は、時給7ドル25セントという最低賃金で暮らしています。このようなわずかな賃金に対し、特に大都市での生活費の高さにより、世界で最も豊かな国、アメリカの人口の14%に相当するおよそ4500万人が、貧困ライン以下の生活を送っています。またほぼ同じ数のアメリカ人が、医療保険に加入していません。こうしたことから、アメリカは、医療保険制度に関しても、先進国の中で最悪の状況にあります。毎年多数のアメリカ人が、医薬品を買えない、あるいは医療保険に加入していないために治療を受けられず、命を落としています。

とはいえ、過去200年の間に生まれたアメリカの経済格差は、この国での抗議を招いています。たとえば、ウォールストリート占拠運動は、資本主義の終結と富の公平な分配を求めた運動です。一部の人々は、もしこのような流れが、アメリカでの格差拡大をせき止めることができなければ、社会的な混乱、あるいは革命さえにつながる可能性があると警告しています。