視点
英グラスゴーでのCOP26の開幕と疑念
英スコットランド・グラスゴーで先月31日、100カ国以上の首脳や高官らが参加して、COP26・第26回国連気候変動枠組条約締約国会議が開幕しました。
今回の気候変動サミットには、気候変動対策に関するパリ協定の全ての署名国から、気候変動問題に取り組む支持者やこの分野の専門家も参加しています。
ここで留意すべきことは、この会議出席のために世界中から400機以上のプライベートジェットが、政府首脳や高官、政治家、通商関係者をグラスゴーに運んだことが、1万3000トンもの二酸化炭素を排出する原因となっていることです。
気候変動とその壊滅的な影響の問題は、今や人類社会にとって非常に深刻な懸念材料となっています。グテーレス国連事務総長は、「世界は気候変動上の大惨事に向かって進んでいる」とし、今回のサミットの失敗は選択肢にはなく、死刑判決に等しい」として警告しました。
先進工業国、特に米国と主要なEU諸国、および特に中国をはじめとした新興経済国は、二酸化炭素の排出と地球温暖化の主な原因となっていることが知られています。このため、近年開催されているいくつかの気候変動会議では、主にこれらの国々に対して、環境基準を遵守し、温室効果ガス排出量の削減に向けた措置を講じるよう要請がなされています。しかしこれまでに、これらの要請は満足のいく回答はなされないまま残されており、これに関する断固とした効果的な措置は講じられていません。
環境分野で活躍するスウェーデンのティーンエイジャー、グレタ・トゥーンベリさんは、各国首脳の言行不一致を指摘し、「私たちの指導者と言われる人たちから聞かれるのは言葉だ。それも素晴らしいと思える言葉。しかし、これまでのところ何の行動にもつながっていない」と語りました。
気候サミット開催の背景にある主な言説は、さらなる地球温暖化を防ぐための迅速かつ効果的なメカニズムを打ち出す必要性であり、特に大量の二酸化炭素を排出する化石燃料の使用と産業活動を削減することとされています。
こうした視点に対して、地球温暖化の問題は産業、鉱業、畜産業活動によるものではなく、地球が何度も経験した全体的な気候変動の結果であるとする別の立場や捉え方も存在しています。このため、こうした考えは、地球温暖化を緩和するための措置が実際にはある種の行き過ぎであり、経済・産業的活動に対する障害であると信じています。こうした見解を支持している人物の1人に、前米国大統領ドナルド・トランプ氏が挙げられ、彼はこの点に関して国連が気候変動の影響やそのモデル化において行き過ぎた行動に出ていると主張しています。トランプ氏はまた、パリ協定の実施が米国の企業と納税者に大きな金銭的負担を強いることになるとして、最終的にこの協定から離脱しました。
しかし、現職のジョー・バイデン米大統領はパリ協定への復帰に同意し、現在では地球温暖化を防ぐための行動を支持すると主張しています。しかし、こうした主張とは逆に、米国は世界最大の二酸化炭素排出国の1つでありながら、排出量削減に向けた具体的かつ効果的な行動をまだ取っていません。
もう1つの点として指摘すべきことは、多くの開発途上国の間では、先進国が産業発展の段階を経て現在、地球温暖化防止という名目で、開発途上国の経済発展を減速または停止させるような措置を講じようとしている、と考えられていることです。このため、発展途上国は、各国が地球温暖化における自らの関与の割合に比例して責任を負うことと同時に、これらの国が環境面での取り決めの実施によって被った損害を補償するために先進国が効果的な支援を提供することを望んでいます。そしてこの要求こそが、これまで主要な温室効果ガス排出国によって無視されたり、または注目されてこなかった事柄なのです。
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