米ウィスコンシン州で、デモ参加者死傷させた被告に無罪評決
米ウィスコンシン州ケノーシャで昨夏、警察の暴力に対する抗議デモの現場でデモの参加者3人を銃で撃って死傷させたとして殺人などの罪に問われていたカイル・リッテンハウス被告に対し、地元の陪審が19日、5つの罪状すべてで無罪の評決を言い渡しました。
米CNNによりますと、18歳のリッテンハウス被告は陪審の前で証言に立ち、事件当時の行動は自衛のためのものだったと述べました。発砲時の混乱した状況を詳述する中では涙を流す場面もありました。
夜間に起きた事件の様子は動画でほぼ一部始終が撮影されており、検察側は被告の行動が犯罪に相当する無謀なものだったと主張していました。
弁護士でニュージャージー州モリス郡の検察トップを務めた経歴を持つボブ・ビアンキ氏は被告に対する無罪評決について「驚きではない」と指摘し、「私見では正当防衛の主張が極めて有力なケースだ。とりわけ当時の被告は追われている状況で石を投げられ、発砲も起きていたことを考慮すればそうなる。頭部を蹴られ、スケートボードで殴られてもいた」と述べました。
CNNの司法アナリスト、エリー・ホニッグ氏は、今回の無罪評決が最終決着であり、検察は控訴できないとの見解を示しました。そのうえで、ウィスコンシン州の法律は正当防衛を主張する被告に有利になっていると説明し、それが評決の重要な背景になったと分析しました。
被告に射殺された2人のうち、1人の友人の女性は無罪評決を受け、報道陣に対しシステムが「機能停止」しているとコメントしており、もう1人の被害者の婚約者は「犠牲者の命が大切にされていないと感じる」と話しています。
12人の陪審は無罪評決に先駆け、4日間にわたり25時間の評議を行っていました。
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